「金庫番の報酬は500万円で実行犯の5~10倍」 ルフィ事件、「情報屋」「金庫番」らの相関図が明らかに!【捜査資料入手】
水面下で一体何があったのか
強盗傷人で起訴されていた実行犯のうち、広島地検は現場のトップだった永田陸人被告(21)だけは殺意のある強盗殺人未遂で起訴。東京地検とは真逆の厳然たる姿勢で臨んだのだ。この起訴内容は、今後、狛江事件でルフィらの逮捕が控える警視庁や東京地検の捜査にも影響を与えることは必至である。水面下で一体何があったのか。広島事件の捜査の裏側に迫る前に改めてルフィ事件をおさらいしておきたい。
東京、京都、千葉、山口など全国各地で発生した強盗事件の逮捕者は異例の数で、優に30名を超す。主犯格は渡邉被告と今村被告、藤田聖也(としや)被告(39)、小島智信被告(45)の4名。彼らは不法入国などの疑いでフィリピン当局に拘束され、入管施設に収容されていた。職員への賄賂で施設にプリペイド携帯を持ち込み、暗号通信のテレグラムで日本に向けて犯行を指示。もともと彼らは特殊詐欺のグループで、渡邉被告はフィリピン当局が“ビッグボス”と認定した取りまとめ役だった。通信時に用いた偽名は「キム・ヨンジュン」で、今村被告が「ルフィ」もしくは「ミツハシ」。ご存じ、事件名の由来である。
金庫番の報酬は計500万円
本誌は、このうち広島事件をめぐり、県警が作成した捜査資料やチャート図を入手した。
「このチャートこそルフィ事件の特質、全体像を読み解くカギだ。事件は指示役と実行役だけで引き起こされたものではない」
声を潜めて打ち明けるのは、現地の捜査関係者だ。
「チャートが浮き彫りにするのは、“情報屋”“金庫番”といった存在で、こいつらがいかに重要かということ。それは、彼らの報酬にも表れている。犯行には通信後、メッセージがすぐ消えてしまうテレグラムが使われていたため、捜査は難航すると思われていた。だが、われわれは特殊なシステムを活用して復元することに成功したんだ。これにより細かい指示内容ばかりか、盗品処分や金の流れも追うことができた。加えて実行犯たちだけではなく、赤坂、新宿、綾瀬にも手渡しによる送金先があることが判明した。こいつらは“たたき”(強盗)のターゲットに関する地下情報を提供する情報屋や、事前に犯行資金を渡す金庫番的な存在だった。広島事件では現場の実行犯は高くても100万円、多くは50万円しかもらえず、運転手役に至っては無報酬だった。しかし、情報屋になると170万円や200万円、金庫番は計500万円近くもの報酬を懐に入れていた」
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