「義母と妹は生姜焼き、僕はキャベツだけ。酒浸りの父は、ある日突然…」壮絶な10代を送った44歳男性の大きすぎた後遺症

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大学を卒業し、ようやく「スタート」

 20歳になると水商売系の店でアルバイトをするようになった。いわゆる「黒服」だが、彼は親切ではあるが働いている女性たちに干渉しなかったため、女性たちから人気があった。店からも重宝されて、当時としてはいい時給をもらえていたという。それも実際には、彼が人との距離感に敏感で、適度な距離を保っていたからかえって信頼されたということらしい。

「何が幸いするかわかりませんね。でもそういうところで働くことで、いろいろな人間模様を見ることができた。オーナーがいい人だったので、卒業するまで働かせてもらいました」

 大学を卒業して、機械関係の中堅企業に就職した。ようやく人生のスタート地点に立ったという思いが強かったと彼は振り返る。

後編【「家でどうしても食べられない一品がある」妻の浮気を咎めたら思わぬ反論が…44歳夫が何も反論できなかったのは何故か】へつづく

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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