「生涯後悔するぞ!」と裁判官を恫喝 工藤會「野村総裁」の新・法廷戦略は吉と出るか凶と出るか
極刑を回避するための方策
「他方、野村被告側はいずれも関与を否定するとみられます。野村被告の極刑を回避するための方策であるとされており、検察側もその点を指摘するようです」(同)
1審で検察側は、野村被告の犯罪を証明する証拠がない中で、元組員や被害者らの証言を積み上げ、いずれの事件も野村被告の指示なしに犯行が行われることはなかったと主張した。
その4事件のうち2件は田上被告が引き受ければ、検察の主張の一部は崩れる、というのが新戦略ということか。しかし、4引く2は2だから罪も半分、なんて理屈が通用するのだろうか――。
「工藤會は市民を無差別に襲撃するなどし、2012年に全国で唯一、特定危険指定暴力団に指定されました。その後に警察・検察、そして国税を巻き込んでの頂上作戦が始まり、野村被告が逮捕・起訴された時点で、極刑が下される可能性が指摘されてきました」(同)
控訴審で被告側が、1審からの方針転換を論理的に説明できないとなれば極刑を覆すのは難しいのではないかというのが表向きの評価だが……。
「1審で極刑が下された時点で、あるいはもっとさかのぼって頂上作戦が始まった時点で、極刑以外の判決の可能性はほぼゼロだったのではないかとの指摘も聞こえてきますね」(同)
最後の親孝行
それでもナンバー2として、田上被告は最後の親孝行とばかりに、野村被告のために献身するということなのだろう。
その一方で、頂上作戦を受けてほぼ壊滅に陥ったとされる工藤會は現在、どのような状況なのだろうか。
「組織としての活動は続いていますが、その様相はこれまでと随分変わりました。野村、田上の両被告に加えて菊池啓吾理事長も無期懲役判決を受けています。この工藤會トップ3は、いずれも2次団体・田中組の出身で、それぞれ3~5代目の組長を務めました。野村被告が工藤會トップに上り詰める過程で田中組の重用と他組織の冷遇・粛清が続きましたが、現在は田中組の執行部のほとんどは勾留中です」
と、竹垣悟氏(元山口組系義竜会会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰)。
「そんな中で注目されている傘下組織として、2代目長谷川組があります。この組織は本部こそ福岡ですが、最近、千葉で起きた事件でも組員が逮捕・起訴されています。千葉を拠点に関東全体へ勢力を拡大しようとしているのかもしれません」(同)
[2/3ページ]