低迷中日「立浪監督」の退任を求める声が強まる一方で…「現場にお任せ」「派閥争い」という球団の“問題体質”はあまりに深刻だ

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「令和の米騒動」が話題に

 中日は、立浪和義監督の就任2年目もセ・リーグで最下位に沈み、苦しい戦いが続いている。8月25日のDeNA戦では9回から登板した近藤廉が10失点を喫し、1イニングを抑えるのに62球を要したこともあって、監督の采配に多くの批判が集まった。監督退任を求める中日ファンの声もネット上で日々激しさを増している。【西尾典文/野球ライター】

 一方で、グラウンド外では、立浪監督の“鶴の一声”で試合前の食事会場から白米が撤去されたことが「令和の米騒動」と呼ばれ、野球ファンの間で大きな話題となった。この騒動は、打線の中軸を担う細川成也が、白米の摂取を控えて、バッティングの調子を戻したことが発端と言われている一方で、関係者の話によると、立浪監督自身も現役時代に試合前は、バナナなどの軽食を摂る程度にとどめていた経験から来ているとの説もある。どちらにせよ、試合前の調整は選手によってやり方が異なる中で、個人的な経験や1人の選手のやり方をチーム全体に押し付けるのは得策ではないだろう。

 また、8月16日に行われた巨人戦の試合前の円陣で、この日、一軍に昇格した石垣雅海が「今日、食堂に入った時、米なかったので、今日は『米米CLUB』ではなく『米なしCLUB』で行きましょう!」と冗談交じりで声出しをしたところ、立浪監督の逆鱗に触れて、監督の方針を揶揄するような円陣での言動は一切禁止になったという。

「米騒動」はまるで冗談のような話だが、それを裏付けるような証言が続々と出ており、ベンチ裏でも立浪監督への不満が出ていることは間違いない。さらに、前述した“晒し投げ”といえる近藤の続投や、白米の撤去を見ても、立浪監督に対して意見を述べることができる首脳陣がいないことを物語っていると言えるだろう。

ピントのずれた補強

 しかし、いくら立浪監督が現場の責任者であるとはいえ、中日低迷の責任をすべて押し付けることには違和感を覚える。起用法や選手への接し方には疑問を感じる点はある一方で、昨年は岡林勇希、今年は石川昂弥や松山晋也ら若手選手を抜擢し、チームの若返りには一定の成果が出ている。さらに、現役ドラフトで獲得した細川に加えて、シーズン途中にトレードで加入した宇佐見真吾や斎藤綱記が一軍で貴重な戦力となり、血の入れ替えが成功している部分がある。

 むしろ気になるのは、球団としての“姿勢”である。立浪監督の要望もあって、昨年からは積極的にトレードや外国人選手獲得に動いているが、球団側は、長期低迷が続く中で、有効な補強を行ってこなかった。

 2010年以降、フリー・エージェント(FA)で獲得した選手は小笠原道大と大野奨大の2人だけで、小笠原はほとんど自由契約に近い形での獲得だった。外国人選手は、A.マルティネス(現・日本ハム)やR.マルティネスが中心選手へと成長したものの、来日した時には育成選手であり、多くの金額を投資したわけではない。ここ数年の主なトレードを見ても、貧打に悩んでいるにもかかわらず、加藤翔平や武田健吾ら、守備が持ち味の外野手を立て続けに獲得するなど、ピントのずれた補強だった印象は否めない(武田は2021年限りで自由契約)。

 戦力補強に資金を投入しない、補強の意図が明確ではない……。こんな状態で、立浪監督にチームを任せても、なかなか好転しないのは、当然だろう。

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