“教授からのお触り”“論文横取り”で鬱病に… 元レースクイーン東大院生の「ブラックラボ」被害告白
レイナさんが考える「構造的な問題」
東大の理学部では、博士論文を書いた上で、取り組む研究が海外の学術誌に載らなければ卒業できないという規定があった。その上で、論文の内容を大学院が審査し合格するとようやく博士号を取得できる。レイナさんは残された2年間なんとか頑張ったものの、その規定を満たすことはできず、博士号を取るという夢には届かなかった。
「悔しかったです、本当に。どうにかして研究室に残る方法を探したんですが、難しくて……」
ブラックラボに結果としては夢を阻まれたレイナさん。だが、そこには日本のアカデミックな世界の構造的な問題があると話す。
「日本の大学の教員の多くは任期付きの教員です。たとえば40歳後半で、子どもを2人を抱えているのに、いつクビを切られるかわかりません。科研費(国から交付される研究助成金)をもらえなければ、研究費を切り詰めて研究成果を出さなければいけません。そういう生活をしていればそれは病むよなと思います。そうした状況が歪んだ人を生んでいるというのは間違いないですし、それが続けば日本の科学は潰れると思っています」
博士になる夢は途絶えてしまったレイナさんだが、現在は“虫お姉さん”になるのが目標だ。
「埼玉にある、事務所の社長の土地に遊びに行ったところ、カブトムシ、クワガタやチョウチョなど100種類くらいの昆虫がいる虫のパラダイスで最高だったんです。その土地を自然観察園『ゆるむしの森』としてプロデュースしています。環境省のプロジェクトに応募したところ、3月には環境省日本自然保護協会のモニタリングサイト1000里地調査対象地 に採択されました。NPO法人を立ち上げて、本格的にやっていこうと考えています。サイエンスコミュニケーターとして、その土地で自然観察や科学教育ワークショップを教えるお姉さん、“虫お姉さん”としてやっていこうかなと考えています」