“教授からのお触り”“論文横取り”で鬱病に… 元レースクイーン東大院生の「ブラックラボ」被害告白
元東大大学院生でレースクイーンという異色の経歴を持つReina+Worldさん(レイナワールド、以下レイナ)。「16キロのダイエットに成功」「東大でゴキブリ研究していた」などの話題でたびたびネットニュースにも取り上げられている。一体彼女はどんな人なのか。話を聞くと、浮かび上がってきたのは“ブラックラボ”など大学研究現場の闇だった――。【徳重龍徳/ライター・エンタメ評論家】
レイナさんが芸能活動を始めたのは千葉大学の学生だった19歳の頃。最初は地下アイドルとして活動した。
「大学に入ってから作曲を始めたんですが、ステージで表現したいと思うようになって地下アイドル活動を始めました。ソロアイドルで、やっているのは自分で作曲した曲。アニメ『マクロスF』のシェリル・ノームが好きで、お腹出して、ちょっとセクシーな感じでやっていたんですが、多くの人が好きなアイドルアイドルした感じとは違ったので、そこまで人気は奮わなかったですね」
その一方でレイナさんには幼少期からの目標があった。がんの研究だ。
「小学校5年生のときに、祖母ががんで亡くなるところを見て、医学的な生と死の境目が気になったんです。自分の細胞に侵されて死んでいく中で、生きてる細胞もまだあるだろうに『死』となるのはどうしてなんだろうと、不思議に思って。それから、がんの研究がしたくなりました」
大学卒業後の2014年、東京大学大学院理学系研究科に進学する。
「国立がん研究センターも受け、合格していました。『ぜひウチに来ていただきたい』と誘われたんですけど、がんに効く薬を作る研究で、生命の根源、生と死の境目を知るといったやりたかった基礎研究とは違ったんです。そこで心臓の再生医療をやっていて、基礎研究にも力を入れていた東大大学院に入りました」
しかし大学院で入った研究室はとんでもない問題を抱えた場所だった。
「そこはアカハラ、セクハラ、パワハラの三冠王と言われていたんです。教授のお気に入りの女子学生のいいように研究室が運営されていました。その子にとって都合のよいデータを取るために、研究室のほかの人間が作業をさせられたり。私分の発表用のデータを先生に添削してもらったら、その女の子のデータとして発表されたこともありましたし、膝を触られるなどセクハラもありました」
こうしたハラスメントが横行する研究室は、理系の学生の間では「ブラックラボ」と呼ばれる。レイナさんのようなケースは氷山の一角で、アカデミックな世界ではよくある話なのだという。
「研究室の学生では博士課程の修了がかかっているので、教授の言うことを聞かざるを得ないんです。ブラックラボにいる学生は自分が悪いと考えてしまいがちで、自分のせいで先生は怒るし、研究室にも迷惑をかけるし、研究が進まないと思ってしまう。大学院生はアルバイトができない子も多いので、研究室以外の外の世界を知らず、そうした状況が間違っていることにも気づきません」
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