睡眠薬を飲むと死亡リスクが30%増になる理由 循環器系疾患の発症、重症化と関係か

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薬の種類を変えるという手も

 しかし、だからといって「睡眠薬を飲むのをすぐにやめましょう」とはいかない難しい事情があるという。

「不眠症の治療は生活の質を担保するために重要だが、“不眠の症状が改善している”“体の調子が良い”と感じたら、減薬・休薬のタイミングです。ただし、BZ系の薬は一旦服用を始めると、依存性もありなかなかやめることが難しい。特に、長期服用後の急な減薬や休薬は、離脱症状が強く現れ症状が悪化する場合もあります」(同)

 祖川氏もこう語る。

「BZ系睡眠薬には抗不安作用もあるため、突然やめてしまうと不安やイライラ感が出てしまうこともあり得る。ただ、今はこのような身体依存が弱く、転倒・ふらつきなども比較的起こりにくいオレキシン受容体拮抗薬というタイプの睡眠薬もあり、そちらに切り替える、という選択肢もあります」

 こうした知識を患者自身が身に付けることは大切だが、自己判断は禁物。まずはかかりつけ医に相談を。

週刊新潮 2023年9月7日号掲載

特別読物「科学的データで見る『若返り』『死亡リスク』の分岐点」より

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