リニア建設妨害の静岡・川勝知事が今度は「土」問題で難クセ 「大変ですよ」と大騒ぎする割に説得力のある回答はできず…地元記者も呆れる“お粗末会見の一部始終”

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NHK報道の衝撃

 次に共同通信の記者が、別の視点から質問を行う。「残土置き場でなくとも深層崩壊は起きる。ならば深層崩壊に対して県は何らかの対策を講じているのか?」と訊いたのだ。

 これに川勝知事は「なかなかできないのではないか」と答える。共同通信の記者が「対策を講じていないということでよいか?」と確認を求めると、知事は急に中部電力が管轄している畑薙(はたなぎ)ダムの問題点について話し始めた。

 共同通信の記者は畑薙ダムの話は無視し、「JR東海に深層崩壊の危険性を強調するのなら、県も対策を講じる必要があるのでは?」と、これも辛抱強く、当然の疑問を繰り返す。

 川勝知事は「JR東海は人々を納得させるだけの対策を、当事者だから講じる必要がある」と急にJR東海に注文をつけた。共同通信の記者が「県も何か対策を講じるべきでは?」と反論するが、知事は「事業者がやるべきである」と一歩も退かない。

 最後に質問したのは静岡新聞の記者だったが、知事を応援する内容だったので、ここでは割愛させていただく。

 この知事会見を受け、NHK静岡はニュース番組の中で、川勝知事の主張を批判的なトーンで報じた。県民や流域自治体の首長などに与えた衝撃は、相当なものがあったようだ。

「ご存知の通り、NHKといえば“みなさまのNHK”です。汚職などスキャンダルが発覚したのなら手加減しませんが、あくまでも“政策論争”の段階で、両論併記などの配慮なしに、知事の矛盾を堂々と指摘するのは珍しいことです」(同・記者)

ゴールポストは動いたのか?

 ニュースの動画と番組の内容を記事化したものが、NHK NEWS WEBに掲載されている。「【リニア解説】去年8月から加熱?発生土置き場の議論平行線」というものだ。

 番組ではまず、キャスターが「水問題はゴールが見えてきたと?」と質問すると、記者が「はい」と断言。その上で「おととし7月の熱海市の土石流を踏まえ、次なる懸念として『リニアのトンネル工事で出る土の置き方』に異議を唱えたのです」と、土の問題は急に川勝知事が持ち出したものだと解説した。

 記者が2014年の意見書の問題を取り上げると、キャスターが「燕沢は『回避して別の場所にしてほしい』という要望は当時してなかったんですね」と補足。記者は昨年の8月8日に知事が「燕沢は深層崩壊の可能性があり、ふさわしくない」と報道陣に話したことも示した。

 そして最後に記者は、正論をカメラの前で述べる。記者としては当然のことだとはいえ、やはりNHKには珍しいだろう。

《県というか川勝知事は、これまでの経緯を踏まえてというより、思いつきでやっている感は否めません。知事はリニア新幹線に賛成だといっていますので、いずれにしても真に建設的な議論を積み重ねてほしいと思います》

 リニア新幹線は賛成だと川勝知事が口にしているのは事実だが、建設に猛反対するため「賛成」を口実に使っているとしか思えない。水の次は土と、徹底抗戦の構えは明らかだ。「ゴールポストを動かした」と呆れる声も出ているが、ゴールポストは動いていないだろう。なぜなら、川勝知事は常に「リニア建設反対」を唱えているからだ。

デイリー新潮編集部

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