リニア建設妨害の静岡・川勝知事が今度は「土」問題で難クセ 「大変ですよ」と大騒ぎする割に説得力のある回答はできず…地元記者も呆れる“お粗末会見の一部始終”

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大演説を披露

 NHKの記者はJR東海のシミュレーション結果を示して反論した。仮に置き場の上部で深層崩壊が発生し、さらに100年に1度の洪水が起きたとしても、燕沢より下流に位置する人家はもちろんのこと、より燕沢に近く登山拠点のある椹島ですら影響はない。

 これに川勝知事は「南アルプスはどうやって誕生したのか」について、プレートテクニクス理論も援用して大演説。現場を視察した経験も開陳し、「少し勉強すれば、なかなか危ないと分かると思う」と記者に言った。

 だがNHKの記者は退かない。川勝知事は2014年に意見書をJR東海に提出した。その際、燕沢の置き場について「位置や構造を関係機関と協議する」ことしか求めていないと指摘したのだ。つまり「深層崩壊が起きる可能性があり、早急に場所を変えたほうがいい」とはどこにも書かれていなかった。

 NHKの記者が「なぜ、このようなタイミングで深層崩壊を持ち出したのか?」と問い詰めると、川勝知事は「深層崩壊の想定はしてほしいと意見書で明言している」と、やや論点をずらす。NHKの記者は誤魔化されることなく、「それは再選定の話とは違う」と冷静に指摘した。

 ここで川勝知事は再び大演説。「南アルプスの自然環境の保全と水資源の保全とリニア建設を両立させることは、関係者全体の関心事」と一方的に断言。「JR東海がすべきことは、これを踏まえて安心していただけるようにすることですね」と勝手に結論づけ、「どうして解決するか、いま知恵をみなさんに求めていることです」と締めくくった。

理念だけは高邁

 どんな質問をしても、川勝知事は真正面から答えない。はぐらかされたような質疑応答が続いた。次の中日新聞の記者も燕沢の問題を取り上げ、「『住民や建物に影響がないなら問題はない』という考え方にも一理あるのではないか?」と質問した。

 川勝知事は「自然生態系の影響を考えるべき」と反論。付近に住民がいなくても、下流域で地下水の恩恵を受けている人がいるかもしれない。下流域に影響が出たら大問題であるし、何よりも「生きとし生けるものの基礎が命の水だという認識でやっているので、そのような部分的なことに矮小化してはならない」と訴えた。

 中日新聞の記者は「理念に関してはその通りだが、環境評価に組み込むには無理がある。何をJR東海に求めるのか?」と質問。川勝知事は「100年に1度ではなく、1000年に1度の規模で考えるべき。そもそもタイムスケールを勝手に決めるのは問題がある。最悪の状況を想定すべき」と熱弁を振るった。

 中日新聞の記者は「燕沢は適地ではないのか?」と確認を求めると、川勝知事は「とても厳しいところだという考えを持っている」と、この質問には明確に適地ではないと認めた。

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