リニア建設妨害の静岡・川勝知事が今度は「土」問題で難クセ 「大変ですよ」と大騒ぎする割に説得力のある回答はできず…地元記者も呆れる“お粗末会見の一部始終”
急に出てきた「深層崩壊」
「土」とは、トンネル掘削に伴う残土の置き場を巡る問題だ。毎日新聞は8月7日、「リニアの行方:残土置き場議論、平行線 県『深層崩壊の恐れ』 JR東海『影響ない』」との記事を静岡県版に掲載した。県とJR東海の主張が両論併記されており、ポイントは以下の通りだ。
◆トンネル工事で発生する土、約370万立方メートルのうち約360万立方メートルを、大井川上流の燕沢(つばくろさわ)に設置する残土置き場で処理する
◆静岡県は「(岩盤から崩れる)深層崩壊が起こる恐れがある」などと懸念している
◆JR東海は深層崩壊などの発生を想定したシミュレーション結果を示し、登山者が滞在する下流側への影響について「発生土置き場がある場合とない場合で、生じる影響にほぼ違いがない」と説明した
◆JR東海の沢田尚夫・中央新幹線推進本部副本部長は、燕沢の置き場は以前から計画地として県に示してきたとして「もう一回『ここで良いのか』という話が出てきたことにかなり困惑している」と語った
ここで「深層崩壊」について説明する必要があるだろう。国土交通省の公式サイトでは次のように説明されている。
《山崩れ・崖崩れなどの斜面崩壊のうち、すべり面が表層崩壊よりも深部で発生し、表土層だけでなく深層の地盤までもが崩壊土塊となる比較的規模の大きな崩壊現象》
語気を強めた川勝知事
燕沢の住所は静岡市葵区小河内。県庁所在地である静岡市中心部の賑わいを想像すると大きな誤解を招く。何しろ静岡市街からは車で4時間半ほどの距離があるのだ。
大井川の最上流域に位置し、地図サイト「マピオン」によると標高は1372メートル。周囲には標高3121メートルの赤石岳、標高3141メートルの荒川岳などがあり、まさに燕沢は南アルプスの中腹と言える。少なくとも地図上で周辺に民家は確認できなかった。文字通りの「人里離れた秘境」なのだ。
毎日新聞の記事が掲載された翌日の8日、静岡県の川勝平太知事(75)が定例記事会見を開催すると、記者から質問が集中した。まずNHKの記者が次のような指摘を行った。
「JR東海と県は燕沢の発生土置き場について、リスクの認識に違いがあったのではないか? JR東海は人命や財産を規準としてシミュレーションを行ったのに対し、県専門部会の委員からは置き場の再選定を求める声も出た。議論が噛み合っていないのでは?」
これに川勝知事は「できるかぎり認識の違いを乗り越え、共通の土台で議論ができるようにしていただきたい」と、まずは穏当な考えを示した。
次にNHKの記者が「深層崩壊が起きると、どんなリスクがあるのか?」と質問。これに川勝知事は「大変ですよ」と語気を強めた。川が堰き止められ、水質も水の供給も生態系にも甚大な影響が出ると見るべき……と力説したのだ。
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