優勝争いやCS争いを左右した「疑惑の判定」 星野仙一監督は試合後に“巨人びいき”の審判を襲撃!「誰に頼まれたんや。汚いぞ。公平にやれ!」と大激怒
侵入防止柵のワイヤに当たって
誤審で決勝本塁打が三塁打に格下げされた結果、最終的にCS進出チームが入れ替わるというあと味の悪い結果を招いたのが、2015年9月12日の阪神対広島である。
2対2で迎えた延長12回1死、広島は田中広輔が左中間に大飛球を打ち上げた。センター・俊輔がフェンスに激突しながら必死で差し出すグラブも届かず、打球はフェンスを越えたあと、グラウンドに跳ね返ってきた。
だが、二塁塁審の判定は「インプレー」。田中は三塁でストップし、緒方孝市監督がビデオ判定を要求したが、判定は覆らなかった。東利夫責任審判は「バックスクリーン方向からのリプレイ映像を3回見直した結果、ラバー上部にあるフェンスにドンと当たって落ちたように見えた。3人で見て、越えていないという判断です」と説明した。
試合再開後、広島は2死二、三塁まで詰め寄ったが、無得点に終わり、2対2の引き分けでゲームセット。田中の打球がホームランと判定されていれば、3対2で勝っていた可能性も高かっただけに、これも負けに等しい引き分けと言えるだろう。
ところが、田中の打球は、フェンスからスタンドに向かって直角に張られた侵入防止柵のワイヤに当たっており、明らかにホームランだったことが翌日の新聞報道などから判明した。
その後、NPBは誤審を認め、「ワイヤに当たるはずがない」という先入観が判断を誤らせたと説明した。しかし、すでに試合が成立していることから、記録は訂正されなかった。
同年、広島は69勝71敗3分で全日程を終え、70勝71敗2分の3位・阪神にわずか0.5ゲーム差で3年連続のCS進出を逃した。8年ぶり復帰の黒田博樹、シーズン後にメジャー挑戦の前田健太のエース両輪を擁し、CSからの下剋上Vを夢見ていたカープファンは「あの誤審さえなければ……」と悔やんでも悔やみきれなかったはずだ。
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