なぜ実写版映画の主役は山崎賢人とジャニーズばかり? ジャニーズ騒動で今後さらにオファーが増えそうな俳優は?

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飽き飽きしているのは俳優側も同じ? 山崎さんの作品選びに見る「実写版俳優」のジレンマ

 そもそも実写版映画への出演は、メリットばかりとも言い切れない。王子様役が続いた山崎さんのように、「実写版俳優」と印象が固定されるデメリットが生じる。あれだけ待望された鈴木亮平さんの名前が「ゴールデンカムイ」に無いのも、そういう理由かもしれない。

 だから山崎さんは、役柄の幅を広げるチャレンジをしているようだ。「キングダム」でのアクションもしかり、テレビドラマ「グッド・ドクター」では、自閉症スペクトラム障害とサヴァン症候群を抱える研修医という難役に挑んだ。NETFLIX「今際の国のアリス」では不条理なゲームに巻き込まれるインドア派の青年に、又吉直樹さん原作の映画「劇場」では無精ひげを生やした“ダメ男”に。実写版に抜てきされる面々が同じという批判の裏には、知名度アップとイメージ固定のジレンマに悩む若手俳優たちの苦悩も透けて見える。実写版に飽き飽きしているのは、視聴者より山崎さんら俳優の方かもしれない。

 また、一口にジャニーズ起用が悪とも言い切れない。「ゴールデンカムイ」の杉元役で見たかった役者として多く名前を見たのは、元TOKIOの長瀬智也さんだった。体格にも恵まれたイケメンというのは山崎さんと同じだが、コメディーセンスの良さも評価されたのではないだろうか。宮藤官九郎さん脚本の「池袋ウエストゲートパーク」「タイガー&ドラゴン」などでの演技は人気を博し、「王子様」という模範的なジャニーズのイメージにとどまらない、ワイルドで豪快な雰囲気は同性からの好感度も高かった。

 これからの山崎さんには長瀬さんを超える男気とコメディー力が問われるのは確かだろう。実写版頼みと「人材難」を抱える日本映画界を支え、実写版やりすぎという批判にも耐えている姿勢には頭が下がるばかりだ。ここ最近は、NETFLIXなど世界配信作品への出演も目立つ。ハリウッドでも実写版主演を勝ち取った真剣佑さんもいるだけに、海外に“金脈”を見すえているのかもしれない。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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