【VIVANT】見捨てられた乃木一家、テントの土地購入、憂助の表の顔…共通するキーワードが終盤のカギ 真相を知った野崎はどう動く

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テントが土地を買う理由

 8話ではベキの養子でテントの大幹部であるノコル(二宮和也・40)が代表を務めるムルーデル社が、諸経費を除いたほぼ全額をバルカ国内の土地購入に充てていることが分かった。その額は年間5億9780万ドル(約836億9200万円)。巨費を投じた土地購入は3年前から始まった。

 8話の最後に憂助は土地購入について、こう分析した。

「最終目的地、日本。それにも(土地購入は)関係するのか。少なくともテント解明のカギはこの土地にある」(憂助)

 ベキはエネルギー資源の開発による砂漠の拡大を食い止めるため、土地を買い、緑地化を図ろうとしているのだと読む。日本が最終的な標的になっているのは、バルカの資源開発に対し、出資と技術供与をしているのではないか。

 考察に目を奪われてしまいがちだが、原作も書いた福澤克雄監督(59)は社会派の人でもある。沖縄戦による住民の悲劇を描いた「さとうきび畑の唄」(2003年)、原爆によって人生を奪われた若い4姉弟の物語「広島 昭和20年8月6日」(2005年)などの作品を撮っている。「半沢直樹」(2013年、2020年)も、それまでベールに包まれていたメガバンクの内幕を明かすという側面があった。

「VIVANT」が最終的に問うのは「国益と個人の幸福のどちらが優先されるべきなのか」ということだろう。戦時下、国家に個人が踏みにじられたことを繰り返し描いてきた福澤監督らしいテーマになるのではないか。ベキもバルカの市井の人たちのために尽力しながら、バルカと日本の両政府から踏み付けられた。

 ほかにも見せ場は複数あるに違いない。その1つはベキたち家族3人が見捨てられた構図の解明だ。おそらく野崎は、ベキたちの人生を狂わせた公安内の裏切りを許さない。

 6話で野崎から若き日の乃木卓の写真を見せられた公安部長・佐野雄太郎(坂東彌十郎・67)は表情を歪めた。佐野は「昔、1度だけ会ったことがあるような気がしたんだ」と言ったが、不自然である。立場上、全容を知らなくてはならないはずだ。

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