フマキラー「虫博士」が伝授する“コバエ”対策…発生源「生ゴミ」の臭いを消す意外な方法
コバエ退治は“使い分け”
――なるほど、コバエのライフサイクルはその後、どうなるのですか?
卵が生まれると、次の日に孵化して幼虫となり、1週間で蛹、その3日後には成虫として飛び立ちます。寿命は長い個体で30日程度。卵や蛹の状態で冬を越す個体もいます。これを「休眠」と呼び、冬を越すために活動を止め、翌春に活動を再開させるのです。
――コバエを退治するにはどんな方法が有効ですか。
駆除方法について解説すると、まず、殺虫剤を事前に床などにまいて卵を産ませないようにする、つまり、ゴキブリと同じような対策はあまり意味がありません。コバエの蛹が同じ場所で発生する理由はエサがあるからです。殺虫剤がまかれていたら、成虫はその場所での産卵を回避しますし、幼虫も別の場所で蛹になります。そうなると、家中に殺虫剤をまく必要が生じますが、たとえばキッチンでは殺虫剤を使いづらいので現実的ではありません。
そのため、コバエについては基本的に“成虫対策”が大事になります。ゴミ箱に使うような当社の「コバエワンプッシュ プレミアム」は発生源に親が寄ってきて、卵を産むことを止めるためのものです。当社の「コバエ超激取れキューブ」やアース製薬の「コバエがホイホイ」のような捕獲器(ベイトタイプ)や、いわゆる「ハエとり棒」のようなものはプンプン飛んでいるものをどうにかするためのもの。台所では殺虫剤をまきたくないでしょうから、そうした場所に設置します。ゴミ箱の中にたくさんいる時はワンプッシュを使ってもらうなど、状況に応じての“使い分け”を当社では推奨しています。ただ、発生源となるような臭いが出る腐敗物があるとまたコバエはいつでも入ってきます。それを止めたい時には、ベランダや網戸にいわゆる吊り下げ型のコバエ回避剤を設置して、家の中に入ってくるコバエを減らしましょう。
虫は基本は緑が好きだけど…
――コバエ取り、薬剤、捕獲タイプなどがありますが、開発にあたり重視していることは何ですか?
実は“色”を重視しています。黄色、緑、青など、コバエが好む系統の色があり、しかも、コバエの種類によって少しずつ好みが違うんです。一般的に虫は緑色系を好むと言われます。紫外線系を見る能力もある。その習性を利用して、弊社の捕獲器も緑にしています。一方、赤は苦手とされていますが、赤を好むタイプのコバエもいるのが厄介なんです。と言うのも、屋外の強い光の下だと、緑や黄色などに寄ってくる傾向がありますが、屋外の10分の1程度しか光がない室内では、色の強弱で苦手なはずの赤に寄ってくることもある。そのため、赤い製品の方が、効果を発揮する場合もあるのです。さらに、コバエの種類によっても好む色が異なるため、ここは「この色が最高です!」とは断定できないのです。
ゴキブリはタワーマンションの40階の部屋にも現れます。何しろ、排水溝を駆け上がれば部屋に入れますし、宅配便の段ボールに卵がついていたらそれが部屋の中で孵化します。コバエも蚊と同様に飛翔能力が高くないため、上層階にはあまり出現しないとは思います。しかし、住人が自分自身で部屋の中に持ち込む危険性は十分あり得ます。たとえば、果物を誰かからもらったとして、そのうち一つが腐っていた場合、すでに卵を植え付けられていてその部屋で幼虫が孵化して成虫になることも考えられるのです。
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