「嫌がるメスを無理やり交尾させ…」「大量生産して売れ残ったら里親に譲渡」 元社員が明かすペットショップ「クーアンドリク」凄絶な繁殖現場の実態
「店にいた時は元気でした」と突っぱねるように言われていた
だが、この間も顧客とのトラブルが絶えることはなかった。関東圏で店長を務めた男性が明かす。
「売った後は知らない、というのがクーリクの基本スタンスです。引き渡し後に病気などが見つかったと客が訴え出てきても“店にいたときは元気でした”“契約は完了しています”などと突っぱねるように言われていました」
前出の元社員も言う。
「納得してくれない客は本部のカスタマーセンターやエリアマネージャーに回されますが、原則として契約を盾に返金には応じません。消費者センターに駆け込まれるのも慣れっこで、年に1、2件は裁判にまで発展します」
秋葉原の本部に勤務していた元社員も「顧客を大事にしようという精神はかけらもない会社」と評する。
「入社しても研修すらありません。下の社員にとって社長は遠い存在で、メッセージも聞いたことはない。ただひたすら、数字だけが求められます」
カスタマーセンターには、多い時で1日に400件近い電話がかかってくるという。
「クレームとして多いのは、5年縛りの『フード定期プラン』関連です。エサを定期的に届けるこのサービスに加入すると、生体が8万円割り引かれます。ところが、小型犬が到底食べきれない量も一律に送られてくるので“量を減らしてほしい”という要望が絶えないのです。ただ“契約は完了している”と突っぱねるので、トラブルに発展する。そこで1年くらい前、電話をフリーダイヤルからナビダイヤルに切り替えました。電話代がかかるなら、客も気軽にかけてこないだろうという算段です」
全国に大規模繁殖場
だが、やはり最大の問題は、不健康な犬猫を販売し続ける営業手法に違いない。
その実態を明かしてくれたのが、クーリクの繁殖部門を運営するグループ企業「大浩商事」の元社員X氏だ。なお「大浩」とは、大久保浩之氏の姓と名からとった社名である。
「昔はブリーダーが繁殖した犬猫を、競(せ)りを通して購入していたのですが、それでは業容の拡大に追い付かなくなり、数年前から自前で全国に大規模繁殖場を建設するようになりました」
先述のごとく、店舗は全国で200超……。
「月に1店舗平均20頭が売れたとして、全国で4千頭、年間5万頭もの犬猫が必要となります。今では繁殖場として北海道から鹿児島まで11施設が稼働するようになりました。昨年、鹿児島にできた最新施設は千匹以上の繁殖犬・猫を収容できる規模です」
X氏はそのうち一施設で犬の繁殖を担当していたが、上から降りてくるのは、とにかく「生産性を上げろ」という指令だった。
「もっぱら業務連絡に使われるグループLINEを通じ、出産率を上げ、死亡率を下げるようプレッシャーがかけられます。達成率がよければ、管理職には特別報酬が支払われました」
[3/6ページ]