「3泊5日・67万円」で大炎上! 港区立中学校「シンガポール修学旅行」 関係者が明かした「費用の内訳と保護者への気配り」

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〈都内初! 全区立中学校で海外修学旅行を実施〉――。9月1日、東京・港区が発表した新方針に対し、SNS上では「賛否」入り乱れた論争が続いている。5億円の予算をかけて来年にはシンガポールへの旅行が予定されているが、取材を進めるとその詳細とともに、“ハイソ”な保護者たちの意向も透けて見えてくるのだった。

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 六本木ヒルズや東京ミッドタウンなどの巨大複合施設を抱え、東京23区のなかでも“富裕層の住む街”の一つに数えられる港区には、日本にある大使館約150のうち、半数にあたる約80か国の大使館が集中する。

 人口の約7%を外国人が占め、区内の小学校では2007年から「国際科」の授業が導入されるなど、「国際人の育成」に熱心に取り組んできたことでも知られる。今回の方針決定にも、異文化に直接触れることで「子供たちの国際理解が深まる」ことを期待したという。

 24年度の修学旅行は3泊5日の日程でシンガポールへ。対象は全10区立中学校の3年生約760人となっている。同国を選んだ理由として「日系企業が多く、治安が安定している」ことや「時差の少なさ」などを区は挙げた。

 事業費は約5億1200万円とされ、単純に生徒数で割ると1人あたり約67万円。ただし各家庭の負担額はこれまでの修学旅行時と同じ7万円程度とするため、残る60万円前後が区の負担となる計算だ。港区の担当者に「高すぎるのではないか?」と訊ねると、こう答えた。

区の負担は「1人約40万円」

「5億1200万円という数字はあくまで想定予算の上限額であり、11日から始まる区議会定例会での審議を経て、実際の事業費は確定します。抑えられる部分があれば、予算削減にも取り組むつもりです」(区担当者)

 事業費の内訳を聞くとこう話した。

「5億円超の予算には生徒760人分だけでなく、引率する教員約100名分や現地でのガイド代、バスの貸し切り料なども含まれます。予算の多くの部分を占めるのは、飛行機代などの交通費と宿泊代ですが、現状、生徒1人にかかる費用は50万円弱と見込んでいます。各家庭の負担額7万円を差し引いた区の実質負担分は(生徒1人あたり)40万円を少し超える程度になると想定しています」(同)

 それでも「格安航空会社のLCCを使えば、シンガポールまで往復で10万円程度で済むケースもある」(旅行ライター)というから、“豪勢”な修学旅行であるのは間違いない。

 シンガポールへは各中学校単位で行くため、期間は来年6~9月を予定。具体的に生徒たちが向こうで何をするかといえば、現地の学校訪問やグループ学習などを企画しているという。シンガポールでのカリキュラムに多額の費用はかからないため、削れる部分があるとすれば航空料金や宿泊代になるのだが……。

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