あと1ヶ月早く覚醒していれば…巨人が来季、期待する23歳「エルビス・ルシアーノ投手」
「あと、1ヶ月早ければ…」
巨人・原辰徳監督(65)の視線は、もう2024年シーズンに向けられているのか。
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9月最初の対戦カードである横浜DeNAベイスターズに負け越し、首位阪神とのゲーム差は7日時点で15.5。3位DeNAとは2ゲーム差ながら、「2年連続Bクラス」の可能性は消えない。だが、このDeNA3連戦の最中、いくつかの異変が見られた。
「9月2日(第2戦)、原監督は一挙に6選手の入れ換えを行いました。『特例2023』の対象選手だった梶谷隆幸(35)の帰還昇格は分かります。松田宣浩(40)、ルイス・ブリンソン(29)らを抹消して昇格してきたのは、ドラフト2位ルーキーの萩尾匡也(22=慶大)たちです」(スポーツ紙記者)
萩尾の再昇格により、昨秋のドラフト会議で指名した新人5選手全員が一軍ベンチに揃ったのだ。彼らが勝敗に絡む場面はなかったが、良く言えば、「新人のアタリ年」。しかし、来季以降を見据え、若手に経験を積ませる機会を設けた感もしないではない。
「この3連戦の先発投手は戸郷翔征(23)、横川凱(23)、井上温大(22)。初戦を任された戸郷は4回5失点、横川は1回3失点、井上も2回途中で7失点KOでした。戸郷は経験値が高いですが、横川、井上は『これから』。Aクラス確保をかけた大事な時期に若手を先発させたということはやはり来季以降のことを考えてのことで、かつ、先発要員が足らないのだと思います」(前出・同)
優勝争いに復帰するためには、投手力の再整備が必要だろう。先発、リリーフともに「核」となる投手がいない。その影響だろう。8月中旬からこんな声も聞かれるようになった。
「あと、1ヶ月早ければ……」
8月23日の東京ヤクルト戦でのことだ。同日の予告先発だったグリフィン(28)にアクシデントが発生した。試合前の打撃練習の打球が頭部に当たり、阿波野秀幸投手チーフコーチ(59)は急いで代理の先発投手を探した。菅野智之(33)が男気を見せ、7回3失点と好投。それにつられて打線も奮起し、チームは勝利を収めたわけだが、菅野は翌24日に先発する予定だった。
原監督は24日に赤星優志(24)を緊急昇格させ、先発マウンドに送っている。先の「1ヶ月早ければ」はこうした先発要員が不足をしていることを指しているのだが、ファームに苦しい投手事情を変えてくれそうな投手が出現したのである。
育成にいた本格派右腕
「育成選手で契約した右腕、エルビス・ルシアーノ(23)が急激に良くなったんです。あと、1ヶ月早かったら、支配下登録される可能性もあったと思います。来年の先発ローテーション候補と言っていいでしょう」(チーム関係者)
ルシアーノはキャンプイン直前の1月24日に獲得した。ブルージェイズ時代の19年、19歳でメジャーデビューしたが、その後は右ヒジの故障でマイナー生活を続けていた。昨年オフ、ブルージェイズを解雇され、巨人の調査網に引っ掛かったのだが、今春キャンプでは「故障・リハビリ班」にいた。
「キャンプでは『右ヒジは大丈夫だ』と話していたんですが、大事を取ったんです。7月に入ってから遠投やキャッチボールで投げるボールにも勢いが出てきて、8月からブルペン投球を開始させました」(前出・同)
奇しくも、菅野を緊急先発させた8月23日にジャイアンツ球場で行われた3軍練習でブルペン入りしており、150キロ強のボールを連投した。真っ直ぐは速いだけではなく、重量感もある。ルシアーノの復活が「あと1ヶ月」早ければ、ペナントレースの状況は変わっていたかもしれない。
ここにきて巨人は若手育成に舵を切ったようだが、こんな声も出ている。今秋のドラフト会議は大学生、社会人に好投手が多く、「巨人が即戦力のピッチャーを大量に指名すれば、今のメンバーでも優勝争いができるのではないか」(ベテラン記者)という。
「若手の成長は時間が掛かるもの。大勢(24)もルーキーイヤーは3連投させないと決め、大事に起用してきたのに、2年目の今年、故障してしまいました。井上も3日のDeNA戦では痛い目に遭いましたが、昨季終盤は期待されていました。あと一歩のところまで来ているんですが。彼らと年齢の近い大学生、社会人が入り、切磋琢磨すれば、井上たちも成長するのでは」(同)
だが、「今年の1位指名も高校生ではないか」の声も多く出始めた。というのも、8月31日から「第31回WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」が始まった。今年は台湾舞台だが、昨年に続いて、巨人は同大会にスカウトを派遣しているのだ。
「昨年の会場はアメリカでしたが、巨人だけは担当スカウトを派遣しました。その流れで浅野翔吾(18)が1位指名されました。U-18メンバーのなかに原監督の意中の選手がいるんじゃないですか」(前出・同)
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