夫婦げんかを我慢する人は早死にリスクが2倍に! 夫が妻に先立たれると早死にする科学的理由とは?
笑いが少ない人は怒りをためやすい?
怒りの感情を誰にも打ち明けられず、ため込むことがよくない、ともいえるだろう。実際、08年には米ミシガン大の研究者が、夫婦間で怒りを我慢した人たちは、怒りをあらわにした人たちよりも早く死亡する確率が2倍になった、との研究結果を発表している。
「結局、怒りを感じた時にはバッと外に出してしまった方が精神的な健康にはいい。夫婦げんかをして言いたいことを言った方がストレスがたまらない、ということです」
そう話す大平氏は「怒り」だけではなく「笑い」の研究でも知られている。
「笑いは、実は怒りとも鬱(うつ)ともすごく関係しているのです。笑いが少ない人ほど怒りを内にためやすい傾向があり、鬱にもなりやすい。また、笑わない生活をしていると認知機能が落ちやすいことも分かっています」
“笑い”のシチュエーションによっても差があり、
「人と一緒に笑う人の方がそうではない人に比べて認知機能が保たれることが分かっています。一人でテレビを見て笑うことに意味がないわけではないのですが、人と話す中で笑う方がよりいい、ということです」
と、大平氏は言う。
「夫婦間だけではなく、たくさんの友達と笑い合う機会が多い人ほど認知機能が保たれる。やっぱりいろんな人と喋ることが脳を活性化させる、ということですね。夫婦よりも友達の方がいいのは、ある程度の緊張関係があるからだと思います。夫婦だと緊張感はないので、あまり脳の活性化にはつながらないわけです」
夫の笑い相手は妻、妻の笑い相手は友達
妻に先立たれ、友達もおらず一人暮らしをしている男性は当然、笑ったり話したりする機会も少ないから認知症になりやすい。
「夫の方は奥さんに先立たれると早死にするけど、奥さんの方の寿命は変わらない、とよく言いますよね。男性の場合、奥さんがいるかいないかで、笑いの量は倍くらい違うのです。結局、夫にとって一番の笑い相手は奥さん。でも奥さんが一番笑う相手は友達なのです。夫にとって奥さんはすごく重要なのですが、奥さんにとって夫は別に重要ではないのです」(同)
自分が重要ではないことを理解しつつ妻への怒りはきちんと吐き出し、笑い合える友人を確保する。それこそ中高年男性が寿命を縮めない秘訣、ということになりそうだ。
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