競歩大国のハズが… 世界陸上で大惨敗、外国勢に後れを取った理由とは?

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 競歩大国ニッポン危うし、である。

 日本男子競歩陣は、2015年世界陸上北京大会で銅、17年ロンドンで銀銅を獲得し、19年ドーハでは二つの金メダルを獲得した。昨年のオレゴンでも金1銀2と成果を挙げたが、今回のブダペストは銅1に逆戻り。その銅も、五輪種目でない35キロでのものだ。

 五輪種目である20キロには、3連覇を狙う山西利和(27)ら4選手が出場した。“メダル独占もありうる”との下馬評もあったが、ふたを開けるとメダルどころか入賞者すらゼロ。山西はトップと周回遅れの24位に沈んだ。

 大惨敗の原因は何か。

「靴、ですかね」

 と全国紙陸上記者が語る。

「優勝をさらったスペインの選手をはじめ、海外の有力選手たちは厚底シューズを履いていました。一方、日本の選手たちはみな従来の“薄底”でした」

技術でカバーできると踏んでいたが…

 マラソンでは今や常識と化した厚底シューズだが、競歩では普及が進んでいなかった。というのも、厚底は反発係数が高く、ジャンプするような感覚になるため、両足が同時に地面から離れると反則になる競歩には適していないといわれていたからだ。

「日本は、短足という肉体的不利を“歩型の美しさ”というテクニックで補っていました。それが厚底だと損なわれてしまう。推進力が増す厚底のメリットを否定していたわけではなかったのですが、これまでに培った技術で十分カバーできると踏んでいたのです」

 その間、厚底を導入した海外勢は、それに合わせた歩型、つまり反則にならない履きこなし術を習得していた。「おらが国の技術力は世界一」とふんぞり返っていたら、いつのまにか置いてけぼり――どこかで聞いたような話ではないか。

 今回の結果を受けて、

「強化責任者は『テクノロジーの導入に合わせていかないといけない』と厚底導入を示唆。もっとも、『歩き方の根底からリセットしないとダメ』だそうです」

 パリ五輪まで1年を切った。迷っている時間はない。

週刊新潮 2023年9月7日号掲載

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