ジャニーズ「東山新体制」を待ち受ける難題 補償金の総額は10億円 消えた社長候補の名前は

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「嵐」の退所問題の行方

 ジャニーズ所属タレントのCM起用を企業が躊躇しているという問題もある。企業側としては高い契約金を支払って商品のイメージを上げるつもりが、下がってしまっては目も当てられない。逡巡するのは当然だ。

「企業のCM担当者や広告代理マンたちが『ジャニーズ事務所のタレントを起用したままで大丈夫なのか』などと不安を漏らし、同時に性加害問題の世間への影響について情報収集を行っている」(前出・芸能事務所幹部)

 共同通信は主要企業114社を対象とした景気アンケートに、ジャニーズ所属タレントの新規CM契約や起用継続に関する設問を追加した。9月2日に発表されたその結果からは、企業側の戸惑いがうかがえる。たとえば、選択肢には契約を「行う」と「行わない」があったが、どちらかを選んだ企業は1社もなかった。

 CMが減ると、同事務所の売り上げが落ち、一方でタレントの退所志向が高まる。テレビ出演のギャラよりCMの契約金のほうが圧倒的に高く、それが減ると同事務所とタレントの双方にとって打撃だからだ。

 ドラマの主演クラスのギャラは1話当たり約200~300万円だが、CMの契約金はその約10倍。CMを減らさないため、新体制は同事務所のイメージ回復に努めるしかない。

 もっとも、イメージ回復のために新体制に何がやれるかというと、なるべく早く補償問題を解決することくらい。同事務所は1995年の阪神・淡路大震災のころから寄附活動に熱心で、大きな自然災害があると必ず巨額の義援金を贈ってきたが、今後は難しいだろう。「まず補償を」と言われるのは必至だからだ。

 退所者が出ないようにするため、東山は気配りもしなくてはならない。既に退所が囁かれているのが「嵐」である。元同事務所スタッフたちは、芸能活動休止中のリーダー・大野智(42)がメンバーを誘って出て行く可能性を指摘している。

「大野氏とジュリー氏の間にある溝が、退所すると見られた理由。そもそも2人の間には意見の相違があり、大野氏に関する女性誌記事への対処を巡って亀裂が生じた。大野氏はジュリー氏側に記事への対処を求めたが、その要望は通らなかった。大野氏は強い不信感を抱いた」(同・元同事務所スタッフ)

 大野には人望があり、櫻井翔(41)、二宮和也(40)、松本潤(40)との絆は強いという。だから、大野が2年半も活動を休んでいるにもかかわらず、3人とも批判や不満を口にしない。大野が誘えば、3人は同調すると見られた。

 もうジュリー氏は社長ではないが、代表権があり、なによりオーナーだ。大野はジュリー氏体制下の同事務所で復帰することはないと見られていたが、今後はどうするのかが注目される。また、相葉雅紀(40)はジュリー氏との関係が良好とされるものの、こちらも新体制になったことで今後の動きに関心が集まりそうだ。

 ファンクラブの会員が約300万人もいるエースの「嵐」が退所した場合、現所属タレントたちにも動揺が走るだろう。

 木村拓哉(50)にも退所説がくすぶっている。木村はメリー喜多川・元名誉会長(2021年に93歳で死去)から特別待遇を受け、その娘のジュリー氏からも厚遇されたが、新体制でもそのままとは限らないからだ。

 タレントたちは今後、イメージが落ちた同事務所に留まることが得策かどうかを考えることになる。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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