「通り魔予告」急増で「ソウルでは外出を躊躇する」異常事態 韓国人の苦痛の根源に“相対的剥奪感”
男性ばかりが加害に及ぶ背景
以上、韓国の今を表すメンタリティについて考察したが、日本社会にも共通している部分があまりにも多い。そして筆者はこの連続無差別殺傷事件を「韓国」という記号や「格差」の側面のみで語るのは一方的であると感じている。
ヒントになりそうなのは、どの国においても、無差別殺傷の容疑者のほとんどが男性である点だ。生きづらさに男女差はないはずなのに、男性ばかりが被害感情を募らせ加害に及ぶ。DV、モラハラ、パワハラ、セクハラの加害者もほとんどが男性だ。生物学的な特性上どうにもならないという見方もあるが、一体何が男性の加害性を助長しているのか、それをいかに抑制していくかという社会変容にまつわる議論が求められているのではないか。
そして多くの男性に対して、経済力が評価基準になりがちだ。結婚においても然りで、「経済力=子孫繁栄力」であることは、年収と婚姻率が比例していることからも明らかである。一部の強者男性が何度も結婚し「時間差一夫多妻」となっている一方、伴侶を得られず経済的にも恵まれなかった男性は存在を否定され、敗者とみなされる。
そうした「すべてか無か」を突きつけられる構造を壊し、男性の人生についての再検討が必要なのだ。そしていずれは、お金や伴侶を得られなくても全ての人が自尊心を保てる社会をつくるべきなのである。