ジャニーズ事務所が“性加害”で行う9月7日の記者会見 テレビ番組が示した8つのポイント

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 ジャニーズ事務所の記者会見は9月7日に迫る。テレビ各局は先週末や週明けの番組で識者や芸能人らがこの会見について活発に議論している。

 それらをふり返りながら、ジャニーズ記者会見の“見どころ”を確認したい。【水島宏明/ジャーナリスト・上智大学文学部新聞学科教授】

(1)ジャニーズ事務所は「性加害」を認めて謝罪するのか?

 ジャニーズ事務所の性加害について、その規模の大きさや長期間続いたことに驚いたという芸能人も少なくない。フジテレビ「ワイドナショー」(9月3日)に出演したお笑い芸人・今田耕二もその一人だ。

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(今田耕二)
 思っていたよりも真実が明らかになると「こんなにもすさまじかったのか」というのにまず驚きました。この芸能界って僕らが入った80年代とか、そういうこともあるような…と、なんとなく受け入れていたというか。

 売れるために…とか(中略)夢かなえるために…とかそういうこともあったりするのかなと思ったんですけど。

 本当に明らかになってみると、本当に被害者、性加害者、ということだけで、こんなにもすごかったのか。被害者の立場を思ったら、そこからの人生とか、トラウマとか、どうなってしまうのかと思ったら、全力でその人たちの救済。まずそこに全精力を注いでいただきたいなと…。
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 日本テレビの「シューイチ」(9月3日)では「KAT-TUN」の中丸雄一が次のようにコメントした。

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(中丸雄一)
 ポイントとなるのは、今後、事務所が(性加害)認めるのかということと賠償がどうなっていくのかが気になる。
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「認めるのか」に関しては事務所が委託した特別チームが性加害を認めた以上は「認めない」という選択肢は現実的には考えられない。今田耕二が感じたようにジャニーズ事務所は被害者の人生を想像して「全力で」補償を考えていくべきだろう。

(2)藤島ジュリー景子社長は辞任する? 藤島社長は会見に出るのか? 辞任した場合、新社長は誰になるのか?

 9月3日(日)にテレビ朝日の情報番組「サンデーLIVE!!」でキャスターを務める東山紀之が番組冒頭でコメントした内容が今後を占う意味で参考になる。

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(東山紀之)
 8月29日に再発防止特別チームにより発表されました厳しい指摘と改革案を含む調査結果を重く受けとめ、9月7日に会見を開き、今後の取り組みに関して事務所がご説明することになっています。その会見を前に今日の段階では私としてはこれ以上のコメントを控えさせていただきますことをご理解いただければと思っています。
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 注目されるのは「重く受けとめ」という言葉だ。事実関係を説明するだけならば不要な表現だ。重く受けとめる主語がジャニーズ事務所なのか東山本人なのかわからないほど、事務所と東山が一体化している。東山が新社長として会見に臨むという一部報道もすでに出ているが、筆者もその可能性をこの言葉から想像した。社長にならないとしても本人は何らかの責任ある立場に就くつもりなのは間違いないだろう。

 他方で東山もこれまでの同族経営の内部で「長男格」と呼ばれて身内同然にやってきた人物である。“内輪の論理”にとらわれない外部からの経営者の起用が求められている中で「東山社長」が関係者の納得を得ることは簡単ではないだろう。

 現社長の藤島ジュリー景子社長はどうなるのか。責任ある謝罪と賠償、現在の所属タレントも含めて徹底したケアの実施を求めている「ジャニーズ性加害問題当事者の会」は続投すべきという姿勢を示す。

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(平本淳也「ジャニーズ性加害問題当事者の会」代表・8月30日 BS-TBS「報道1930」)
 藤島社長は退任するべきではない。ジャニーズ・ファミリーであるならば、家業であるならば、そこで犯された犯罪であるならば、今それを引き継いだ唯一の人であるジュリー氏がこの責任を全うしてほしい。
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 24時間テレビで100kmマラソンを走り終えたばかりのヒロミが「当事者の会」に近い意見を表明していた(フジテレビ「ワイドナショー」9月3日)。

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(ヒロミ)
(ジュリーさんは)社長を辞めるんだろうなとは思いますけど、ジャニーさん、メリーさん、ジュリーさん、その人たちが全員いなくなってしまうと他の人に何かをされたとしても、どこか気持ちが晴れないのかなと思ったり。ジュリーさんが残ってそこまで全部きれいにしてから、というのもあるのかな…と、その方がその人たち(被害者)にとってはちゃんとケアをされたと思えるのか。被害者の人たちの気持ちを受け取った方がいいと思う。

(ジュリーさんが)いなくなって他の人たちが賠償なり何なりとかいろんなことをやっても、どうなのかと俺は…。最終的には(ジュリーさんも償いの)責任をとるべきだと思っています。
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 だが、事務所が正式に委託した特別チームが「藤島社長の辞任」を提言した以上は社長が続投するという選択肢はない。一部に「社長は辞任するものの取締役としては残る」という観測報道が出ているが、これでは再発防止特別チームが求めた「ガバナンスの強化」のための「同族経営の弊害の防止」「社外取締役の活用」にはつながらない。万一そんなことになれば記者会見で厳しく追及されて紛糾してしまう。同族経営で不透明な会社組織のイメージは今後もついてまわる。

 誰が新社長になったとしても新たな取締役会に求められることは、まず7日の記者会見を滞りなく、多くの人の納得感があるかたちで終わらせること――。それが新しい経営陣に求められる最大のミッションだ。そういう意味では先日の再発防止特別チームの記者会見には納得感があった。あそこでの提言に沿ったかたちの「役員人事」になっていないとたちまち不満が爆発するだろう。

 このあたりは「サンデー・ジャポン」(9月3日)でデーブ・スペクターが語った言葉も参考になる。

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(デーブ・スペクター)
(藤島ジュリー景子社長の辞任は)業務内容を一番わかっていた人だから、ある意味、もったいない。(でも)被害者は何百人ですよ。何十年も…。

 やっぱり、これは(社長辞任は)しょうがないですよ。屋号も含めてイメージ回復しないと、今所属するタレントが辞めるとか、かわいそうだとかあります。それだけじゃない。今から(事務所に)入る人がいなくなる。入ってくる人がいないと(会社として)次はない。継続が…。それも大きい。
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