処理水問題で岸田首相が助けを求めた人も役立たずで…専門家が指摘する”日本が突くべき中国政府の急所”
中国の弱点
せめて中国から日本国内へいたずら電話が殺到している問題だけでも、粘り強い外交交渉で解決できないのだろうか。だが、それも現実的には厳しいという。
「中国が処理水の問題を外交カードとして使った理由として、日米韓による中国包囲網に対する牽制と指摘する識者もいます。否定はしませんが、中国の狙いはもっと単純でしょう。中国の16歳から24歳の若者の失業率は、6月に21・3%と発表された後、7月から発表が中止になりました。7月に北京大学の調査チームが、若者の失業率は最大46%と推測しています。若者の現状に対する不満は相当なものがあり、処理水の問題は彼らのガス抜きを狙って中国政府が意図的に煽っているのです」(同・石平氏)
水産物の輸入も再開されないし、迷惑電話の問題も解決しない。ならば日本は、事態の推移を黙って見守り、中国の横暴に耐え忍ぶ以外はないのだろうか。
「中国には明確な弱点があります。それは処理水が無害だと科学的に証明されている点です。IAEA(国際原子力機関)も『無害である』と太鼓判を押しました。だからこそフィリピンやインドネシア、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアといった環太平洋諸国も静観の構えを見せているのです。中国だけが『処理水は有害だ』と喧伝していますが、科学的な裏付けはゼロです。これを指摘すれば中国は反論できません」(同・石平氏)
チャイナリスク
石平氏が提案するのは、日本政府が習近平国家主席(70)に「公開質問状」を送付することだ。「貴国は処理水を汚染水と決めつけているが、その科学的根拠を説明してほしい」と回答を求める。
「公開質問状は、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語の5カ国語に翻訳し、全世界に公開します。その上で中国に送付するのです。もちろん汚染水と断言できるだけの科学的根拠はないのですから、中国は論点をずらすか、沈黙せざるを得ません。中国が質問に答えられなかったという事実は重要で、これも世界に知らしめる必要があるのは言うまでもありません」
さらに石平氏は「日本産水産物の輸入禁止についても、もっと積極的に現状を世界に知らしめるべき」と指摘する。
「中国に対する外資の投資額は、4月から6月までの3カ月間で49億ドルにとどまりました。統計が確認できる1998年以降、最小額で、前年同期比87・1%減は過去最大の落ち込みでした。その理由は、世界各国が“チャイナリスク”に不安を抱いているからです。そして、日本の水産物が理由もなく輸入停止になったことが、まさに“チャイナリスク”の具体例です。この事実を世界に向けて積極的に発信するのです」
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