ミナミの喫茶店で「特殊警棒」「催涙スプレー」で仕返し 背景には6代目直参同士の「仁義なき資金源獲得戦争」

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拉致する算段だった

 2023年8月23日、6代目山口組の2次団体・2代目兼一会(かねいちかい、本部:大阪市中央区)の組員らが、生命身体加害略取未遂や威力業務妨害などの疑いで逮捕された。背景に同じ6代目の2次団体・秋良連合会(本部:大阪市浪速区)との間にあるミナミでの利権争いがあるのではと見られている。関西随一の繁華街・ミナミを主として牛耳ってきた宅見組が退潮著しい中で、現場は草刈り場と化しているようだ。

 揉め事のあらましを見ておこう。

「事件発生は今年の4月26日の深夜です。6代目山口組の2次団体・2代目兼一会の折目行正容疑者が大阪市中央区の路上で男性に殴られた後、報復をするために近くにある喫茶店にこの男性を呼び出しました。近くに実行役を待機させ、男がやってきたタイミングで制圧し、拉致する算段だったということです」

 と、担当記者。

ケツ持ちに6代目直参組織

 呼び出された男性は、その場で容疑者らに特殊警棒のようなもので殴られ、催涙スプレーを噴射されたという。それだけなら単純な仕返しなのだが、そこに別の団体の幹部も同席していたという点に警察は着目しているという。

「この話し合いというか報復の場には、秋良連合会の幹部が同席していました。秋良連合会も2代目兼一会と同様、6代目山口組の2次団体です。近隣のミナミでの飲食店のキャッチの利権をめぐってのゴタゴタが背景にあると見て、大阪府警4課は捜査を進めています」(同)

 単純なストリートでの喧嘩ではなく、背後には繁華街、ミナミの利権が絡んでいるというのだ。何が起きているのか。

宅見組のシマだったが

 2代目兼一会は6代目山口組の分裂に伴って、4代目山健組の直参組織として神戸山口組の旗揚げに従った。その後、植野雄仁会長が4代目山健組から絶縁され、6代目山口組傘下の2次団体・極心連合会に移籍した。2019年に発生した傷害事件をめぐって植野会長は懲役刑が確定し、現在服役中の身だ。また2代目兼一会では若頭代行も別の罪で実刑判決を受けている(控訴中)。

「今回の被害男性のケツ持ち(庇護者)が秋良連合会だったそうです。幹部が社会不在だったり組織が弱っていたりするのを見計らって、他の組がちょっかいをかけるというのは昔からよくあることですね。もともとミナミは宅見組をメインに、その他、極心連合会、2代目一心会、太田興業などのシマとして確立され、誰も手出しできるような状況ではありませんでした」と、竹垣悟氏(元山口組系義竜会会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰)。

 しかし、2代目宅見組は神戸山口組に移籍した後、徐々に力を失っていく。

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