プリゴジンが掌握していた驚異の「アフリカ利権」 「中央アフリカとは3900億円の金の取引が」
案の定――。その報(しら)せに、誰しもそんな思いを抱いたにちがいない。8月23日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン(享年62)が乗ったジェット機が爆発し、墜落。DNA鑑定により“正式”に死が発表されたが、かの国を覆う闇は深まるばかりだ。
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〈プリゴジン氏のことは1990年代初めからよく知っている。複雑な運命を背負った男だ。私の求めには必要な結果も達成した〉
彼の死後に述べたプーチン大統領は、こう付け加えるのを忘れなかった。
〈人生で重大な過ちを犯したが〉……。
“重大な過ち”が、6月の武装蜂起を指しているのは明らかだ。数々の戦果を上げたワグネルは、ロシア政府軍からの支援が不十分だと不満を募らせ、プリゴジンはウクライナ戦争の大義すら否定。首都モスクワを目指して進軍した。が、プーチン大統領と“主従関係”にあるベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介人となり、たった1日余りであっけなく幕を閉じていた。
なぜこのタイミングか
「ロシア政府が関与したとすれば、“見せしめ”として効き目は絶大だと思います」
そう解説するのは、防衛省防衛研究所・研究幹事の兵頭慎治氏である。
「多くのロシア人は、プーチンに逆らうとどうなるかを改めて痛感させられたわけです。力による統治そのものですが、少なくとも当面の間は内憂の排除に成功するのではないでしょうか」
“見せしめ”はなぜこのタイミングでなされたのか。
「9月には統一地方選挙、そして来年3月には大統領選挙と、ロシアではまもなく政治の季節が始まります。その前に足元を固めておく必要があったのです」(同)
一方、元時事通信社モスクワ支局長で拓殖大学特任教授の名越健郎氏は、
「反乱後もプリゴジンは比較的自由に行動していたとみられます。それは、彼を泳がせることによってワグネルが持つアフリカ利権を調べ上げ、その利権をロシア政府、つまりプーチンが引き継ぐための期間が必要だったからだと思われます」
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