やり投げ・北口榛花、恩師が明かす「試合後に受けたダメ出し」 チェコ語ペラペラの理由は?

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 前回大会まで盛り上げた織田裕二(55)がいなくなり、寂しさすら漂う「世界陸上」。その沈鬱(ちんうつ)な雰囲気を吹き飛ばす大投てきである。北口榛花(はるか)、25歳。世界が驚いたのは一番やりとなった競技だけにあらず、チェコ語のインタビューにも流暢(りゅうちょう)に応じるその語学力だった。

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 日本時間8月26日に行われたやり投げ女子決勝。それまで4位に甘んじていながら、最後の投てきで66メートル73を記録し大逆転、日本女子のフィールド競技では史上初の金メダルを手にした。

「試合後に会った時に話したのですが……」

 とは、北口がかつて所属していた日本大学陸上競技部の元監督・小山裕三氏。決勝当日の中継では解説も務めたが、北口の最後の投てき後に控える外国人選手に対し、「記録は破られません」と解説したことが彼女と話題になったそうで、

「“先生、(この外国人選手は66メートルを)投げられませんとか言っちゃダメですよ”と笑っていました」(同)

武者修行先にチェコを選んだ理由

 恩師へニコニコしながら“苦言”を呈する北口は北海道旭川市の出身。進学校の旭川東高校でやり投げを始め、身長179センチの体格を生かし、メキメキと頭角を現した。小山氏が続ける。

「高校時代の彼女の試合を見て、日大に勧誘しました。日大の陸上部は男子に比べ女子は比較的自由に練習できます。そういう環境が彼女に合うのではないかと思ったのです。実際、疲労がたまった時には本人の希望を尊重し、関東インカレに出なかった。世界で活躍できるよう大きく育てたいと思っていたからです」

 大学時代にはやり投げ大国のチェコのコーチに“教えてほしい”と自らアタックし、現地で武者修行。本人を取材したスポーツライターの小林信也氏によれば、

「チェコを選んだのは、他国と違いウエートトレーニングを第一に考えていない点に共感したからです。彼女はやり投げがパワーだけでなく、技術やしなやかさなどすべての力を合わせて遠くに飛ばす競技だと考えているのです」

 確かに決勝後、チェコメディアからの取材にチェコ語で答える彼女の姿を見れば、パワーだけが彼女の魅力でないことは明らかだ。

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