2年前にスカウト密着宣言…特A「佐々木麟太郎」を狙う岡田阪神には“重大な課題”がある
打撃評価は「特A」だけど
阪神は佐々木が1年生だった22年1月時点で“あえて公表する作戦”に出たのだろうか。しかし、阪神はその後、指揮官が当時の矢野燿大氏(54)から岡田彰布監督(65)に代わっている。チームビジョンも変更されたはずだが、「指名します」のポーズを見せて裏切った場合、その地区担当スカウトのメンツは丸潰れだ。
「岡田監督は、チームで高校生野手がなかなか育たない現状を嘆いています。佐々木は『一塁しか守れない』との評価もありますが、2、3年掛けてしっかり教えていけば守備は何とかなるんじゃないか。17年ドラフト会議が思い出されます。同年の主役は清宮幸太郎(24=現日本ハム)でしたが、全球団の現場スカウトの打撃面に関するナンバー1は九州学院の村上宗隆(23=ヤクルト)でした。でも、捕手しかできないうえにそのディフェンス力は落第点で、DHでしか使えないと言われていました。プロ入り後、村上はその評価を覆しました」(スポーツ紙記者)
NPBスカウトたちの話を総合すると、佐々木の打撃は「特A」。但し、“太めの体”を絞りながら守備強化もやらなければならないので、「一軍戦力になるまで3年は掛かる」と言われている。
「大学、社会人に進めば即レギュラーです。打撃面を磨き上げるなら、もっと高いステージに進んだほうがいい」(在京球団スタッフ)
との声も聞かれた。
また、周辺情報ではあるが、佐々木の将来の夢はメジャーリーグだという。NPBのどの球団に指名されても「入団前提の交渉」となるが、「身近に阪神ファンがいる」という。父親で、花巻東の監督である佐々木洋氏の仲人が阪神ファンなのだそうだ。その影響で佐々木自身も阪神に関心があることまでは間違いなさそうだが、こんな指摘も聞かれた。
「高校野球の現場指導者の阪神に対する心象は芳しくありません。高校生野手がなかなか育っていないせいもありますが、藤浪晋太郎(29=現オリオールズ)はプロに進んでから、コントロールが悪くなりました。人気球団なのでチヤホヤされてダメになったケースも報告されています。手塩に掛けた教え子の未来を考えたら、阪神入りは喜べません」(関西地区私立校指導者)
繰り返しになるが、「2年前の密着宣言」をして指名すらしなかったら、阪神スカウトは信頼を失ってしまうかもしれない。球児の側もスカウトに見られていることをエネルギーにして頑張ってきたのだ。それを土壇場でひっくり返されたら、ガッカリ感と「阪神の熱視線はアテにならない」という気持ちをその学校に残すことになる。
阪神の北海道・東北担当の葛西稔スカウト(56)の目撃談は多く聞かれた。岡田監督がリーグ優勝の次に着手しなければならないことは「高校生野手が育たない」の悪評払拭だ。
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