中国からのイタズラ電話、「中国政府は消極的に加担」 専門家は「政府は迷惑動画なら削除する」
「あなたたちはなぜ“汚水”を排出するのか、あなたたちはバカ、なぜ排出するのか、中国人は同意しない、原子爆弾であなたたちを爆破する」
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突然こんな機械翻訳の自動音声と思しきカタコトの日本語が受話器の向こうから流れてきたら、不気味なことこの上ない。電話の主は名乗らないばかりか、中国語で一方的に怒鳴りつける輩もいるというのだ。
8月26日、福島県福島市の木幡浩市長(62)は、自身のフェイスブックで、〈我が身の所業をわきまえぬ困った国です。福島は、原発事故の被害に加え、事後処理の負担も負わされている〉と記した上で、市役所だけで2日間で約200件、また市内の小中学校などの公共機関のみならず、飲食店やホテル・旅館にもイタズラ電話があったと訴えた。
社会部デスクによれば、
「都内でも東京電力の本社に約6千件、千代田区役所に約千件など、日常業務に支障をきたすレベルになっていますが、これらの大半に共通しているのは、発信元の電話番号の頭に『86』、つまりは国際電話で中国からかかってきたことを表す『国番号』がついていることです」
国際的な安全基準に合致
都心にある美容院の経営者に話を聞くと、
「なぜかウチにも6回ほど中国語でかかってきました。日本人に不快感を与えたいのか、電話代も高いのに、わざわざすごいなと……」
かような騒動は、8月24日から福島第一原発(福一)の「処理水」の海洋放出が始まったことで生じた。今回の日本政府の対応については、国際原子力機関(IAEA)が「国際的な安全基準に合致する」との報告書を発表し、欧米はじめ世界の多くの国々が静観しているのに対して、ロシアや北朝鮮、ソロモン諸島の一部は反対を表明し、その急先鋒が中国なのだ。
そもそも「処理水」とは、福一の廃炉作業で汚染された地下水の中から、有害なストロンチウムなどの放射性物質を専用処理設備「ALPS」で取り除き、それでも残ったトリチウムを国際的な安全基準レベルまで希釈したもの。これまでは専用タンクに貯蔵してきたが、政府は容量が限界を迎えるとして、海洋放出することを2年前から計画していた。
政府は「迷惑電話動画」を黙認
そうした経緯を日本政府は再三にわたって説明すべく対話を呼び掛けてきたが、中国側は応じるどころか、公式会見で「処理水」を「核汚染水」などと呼び、“偽情報”の拡散に躍起だった。
件のイタ電も、中国共産党の仕業かと勘繰りたくなるが、実際に中国ではSNSで“日本へ抗議電話をかけてみた”などと題した動画が、閲覧数を競うように次々とアップされている。
中国に精通するジャーナリストの高口康太氏が言う。
「SNSのアカウントを中国で持つには実名登録が基本で、愉快犯的な迷惑行為などの動画をアップして閲覧数を稼ごうとすれば、すぐ政府がアカウントごと削除します。ところが今回は迷惑電話の動画が野放しにされているところをみると、政府は“黙認”する形で消極的に日本への嫌がらせに協力しているといえます」