FA惨敗続きの巨人、「松井裕樹獲り」へ“デーブ”暗躍 トレード“仲介”の過去、「ネゴ」と「コネ」のウラ稼業
“ナベQ”の名代として原監督とトレード交渉
大久保コーチは西武打撃コーチだった08年春、第2次政権時代の原監督と直にトレードでやり取りした“実績”もある。西武は当時、外野手として出場機会に恵まれていなかった巨人の清水隆行に目を付けていた。そこで上司だった渡辺久信監督(現ゼネラルマネジャー=GM)の承諾を得て、大久保コーチは巨人とのオープン戦前の打撃練習中、捕手の野田浩輔(現西武バッテリーコーチ)を交換要員に挙げて原監督に直談判したという。
西武球団が野田放出に難色を示したため、この時点でのトレードはなくなったが、同年オフには金銭トレードで清水獲得に至った。大久保コーチが暗躍したトレードとしてエピソードが残っている。「巨人が松井獲得に乗り出せば、交渉で助力していくのはデーブの役割とみている」(セ・リーグ球団の編成担当)と他球団が分析するのも無理はない。
松井は神奈川・桐光学園高時代に「巨人ファン」を公言していた。1995年生まれで、同年に現役引退した原監督の現役時代は知らず「高橋由伸ファン」だったが、巨人にはポジティブな印象を持っている。GMの役割を兼ねる今の原監督の強すぎる権限やメディアの注目度の高さなど近年、その働きづらさゆえ、FA選手に敬遠されている巨人でも、松井との交渉では切り崩す余地が十分にありそうだ。
“松井争奪戦”のライバルは楽天とメジャー?
巨人のライバルとなるのはNPBでは慣れ親しんだ楽天、そしてMLB球団か。
「楽天で250セーブを達成したい気持ちもあるようだが、来季は監督が交代する可能性が高く、その人選も松井の去就の判断に影響を与えるだろう。今季2億5000万円の年俸も契約延長なら増額が妥当で、親会社が経営難の球団にはネックとなる。メジャー行きの可能性を探るかもしれない。WBCでは公式球に対応できなかった一人で、ベンチは早々と大事な場面で使うことを諦めたほど適応に苦労していた。とはいえ、日本の球団とは比較にならない大きな契約金を提示される可能性があるだけに、日米全球団のオファーをテーブルに並べてから最終判断をするのではないか」(前出の編成担当)
大久保コーチは清水のトレードの際は一度、球団が同意せず破談になったことを今でも悔やんでいるという。しかし、今オフに松井とFA交渉となれば、編成権を掌握する原監督の意向を汲んで動くだけに、巨人側では意思統一された中で動くことになる。新任コーチとして打撃部門の立て直しに一定の成果を出した今季、オフには原監督の名代として投手補強にも寄与できるかどうかに注目したい。