FA惨敗続きの巨人、「松井裕樹獲り」へ“デーブ”暗躍 トレード“仲介”の過去、「ネゴ」と「コネ」のウラ稼業
大勢とのダブルストッパー構想も
プロ野球巨人が今オフに楽天との4年契約が切れ、海外フリーエージェント(FA)権を取得する松井裕樹(27)の獲得調査に乗り出している。今季は2年目の大勢が右上肢のコンディション不良のため離脱が長引き、抑えの務めを果たせないままシーズンを終えそうだ。チームは来季に向けて投手陣、特にリリーフ陣の強化が急務。通算228セーブを誇る松井は補強ポイントに合致する存在で、豊作と言われる今オフのFA市場でも上位にリストアップしているという。
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巨人は十八番のFA補強が昨オフまで2年連続でなかった。来季は原辰徳監督(65)が続投なら3年契約の最終年。背水のシーズンへ、松井獲得なら光明を見いだせる。
大勢は8月30日、約2ヵ月ぶりに本格的なブルペン投球を行った。今後はシート打撃登板などを経て1軍を目指すプランだが、復帰したとしてもレギュラーシーズンの最終盤、来季へ感触を確かめる程度にとどまるだろう。
大勢は今季、開幕前にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場。疲労が抜け切らないままシーズンに突入した。昨季、投手チーフコーチだった桑田真澄氏が原監督との指導方針の相違によりファーム総監督に配置転換されたことで、桑田氏が封印していた3連投が解禁されるなど自身の起用法も変わった。
巨人のチーム関係者が明かす。
「大勢は今年、無理すれば選手生命に関わりかねないと危機感を覚えていた。(昨季は57試合の登板で)今後もリリーフで毎年50試合以上継続して投げていくためには徹底した自己管理が要ることを分かっている。桑田さんに教わったことを実践し、来季以降も酷使を避けるようにベンチと向き合っていこうとしている」
大勢がフルシーズンで戦った実績は昨季の1年だけ。来季も計算できるとは言い難い状況で、長年抑えで実績を積み上げてきた松井は、巨人が喉から手が出るほど欲しい存在だ。うまくいけば大勢との左右のダブルストッパーにもなり得る。
デーブ時代の先発転向で成功
松井はプロ2年目の2015年にリリーフ転向後、毎年のように50試合以上に登板してきた。大きな故障とも無縁。今年4月には山崎康晃(DeNA)の29歳10ヵ月の史上最年少記録を大幅に更新する27歳5ヵ月で、通算200セーブに到達した。
今季はここまで46試合に登板し、1勝3敗31セーブ、防御率1.62の好成績だ。30セーブは2年連続6度目で、通算407セーブの岩瀬仁紀の9度に次ぐ。28歳で迎える来季、NPBでプレーすることになれば、この若さで名球会入り(250セーブ)の条件を満たすことが確実視される。
楽天の球団関係者は松井のプロ入り後からの歩みを述懐する。
「本人は抑えを打診された当初は先発へのこだわりが強かった。高校時代にドラフト会議で5球団の指名が競合した時も、あくまで先発として評価されていた。しかし、もともと球種が少なく、制球難で5回までに100球も使うなど球数がかさむため、先発としては早々とダメ出しされた。それでも、本人は先発への未練を捨てきれなかったが、球団の方針だったリリーフへの転向を(当時楽天監督だった)デーブさん(巨人の大久保博元打撃チーフコーチ)が言い聞かせたことで転向が決まった」
今になってみれば、この決断はファインプレーだったと言える。WBC日本代表にも選ばれ、NPB屈指のクローザーに成長した。今でも松井と大久保コーチは良好な関係で、それは巨人がFA交渉で“橋渡し役”に期待するほどでもある。
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