「俺はヤクザだ。疑うならネットで検索しろ」 10代女性へのわいせつ行為で逮捕された組員のシンプルすぎる犯行と所属組織の数奇な運命

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安東組長との話し合いの結果

 もっとも、池田組もまた神戸山口組を脱退して、神戸山口組を公に批判して抜けた絆會と運命共同体となる一方で、神戸山口組と2社連合を結んでいる。これもなかなか一般には理解しがたい動きなので、「ヤクザの常識」というのはケースバイケース、時と場合によるということなのかもしれない。

 話を山田一組長の動きに戻すと、ここまで鮮やかで軽やかな身のこなしができた背景には、ある種の密約があったことが指摘されてきた。

「山田組長が2代目竹中組から池田組に移ったのは、安東組長との話し合いの結果だと言われており、それがおおむね事実だと私も感じています。つまり、あえて池田組に入り込み、若い衆を同調させ、あわよくば組織の瓦解に追い込むというミッションがあったのでしょう」(同)

功績として6代目直参か

 その作戦が奏功したか否かは判然としないが、その後に神戸側が弱体化の一途をたどっていることは間違いない。加えて、3代目杉本組が6代目直参となっていることから、組織内での評価が高いことも疑いないだろう。

「今年、山田組長と安東組長とが連れ立って4代目山口組の竹中正久組長のお墓参りをしたとされています。両者間にわだかまりがあるなら2人で墓参などあり得ないでしょうから、関係は悪くないはずです」(同)

 敵対組織に身分を偽装して乗り込んでスパイ活動を展開する行動はフィクションの世界でしばしば描かれるが、現代のヤクザの抗争でも実際に行われていたということになるのだろうか。

 シンプルな行動を繰り返す組員と複雑な動きで生き残りを図る組織。どちらも迷惑な存在なのは言うまでもない。

デイリー新潮編集部

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