「“会ったその日に行為”が18%」「別のグループの人と付き合うのは無駄」衝撃のレポート コロナ、スマホで学校はどう変わった?
デートDVのリスク
今回取材した高校でこの話をしたところ、こうした交際のあり方に半数以上の生徒が理解を示した。ネットの方が知り合うのも、告白するのも、やり取りするのも楽だというのが理由だった。そこで信頼関係さえ築けていれば、出会ってすぐに性行為をすることもありえなくない、と。
もちろん、教師はそうした出会いには十分な警戒が必要だという。それはこの類の出会いから生じるトラブルも見てきているからだ。男性教師はこう言った。
「ネットで知り合った恋人と直に会って起こるトラブルは何件も報告されています。ひどかったのはデートDVですね。ネットでは優しい男性が、実際に会うとすごく暴力的でデートDVの被害に遭うということが起きたのです」
冒頭で「蛙化現象」がZ世代の流行語ランキング1位になったと述べたが、蛙ならまだしも、DVとなれば看過できない問題だ。
通信制高校の人気の上昇
今後、若者たちの人間関係はどうなっていくのだろう。
社会背景を踏まえれば、今の傾向はますます強まると考えて間違いない。学校の中からはより雑多な人間関係がなくなり、メリット・デメリットで人付き合いを考え、多くのことがSNS上でのやり取りに移行するはずだ。
事実、人間関係を築くのが不得意な子は、学校現場からも離れつつある。それを示すのが、通信制高校の人気の上昇だ。
中学の男性教師は述べる。
「少し前までは、不登校の子は定時制に進学することが多かったです。クラスの半分以上が不登校経験者なので、そこでゆるい人間関係を学びながら、少しずつ人付き合いをする力を身に付けていった。しかし、今の子は初めから人と関わりたくないといって通信制高校へ進むのです」
今年の都内の全日制高校志望率は89.2%まで下がり、7年連続過去最低を更新した。全国的に見ても、15年に約18万人だった通信制高校生徒数は、21年には約21万8千人に増えている状態だ。
おそらく日本の社会はこれまでのような対面での付き合いは重視されず、好きな時に、好きな方法で接点を持つようなものへ変わっていくはずだ。それがデジタル時代の生き方でもある。
その観点からすれば、昔ほど無理をして対人能力をつける必要はないかもしれない。だが、果たして本当にそれで物事が成り立つのかは未知数だ。その答えを、コロナ禍で子供時代を過ごしたこれからの若者たちが示すまで待っていていいのだろうか。
(敬称略)
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