「“会ったその日に行為”が18%」「別のグループの人と付き合うのは無駄」衝撃のレポート コロナ、スマホで学校はどう変わった?
大勢の人と過ごせない
今回、小中高校に勤める約90名の教師にアンケートやインタビューを行い、子供たちの人間関係について質問をした。その結果、教師の約7割が、子供たちの人間関係に変化が生じていると答えた。
具体的にどこにそれを感じるのか。教師が挙げた例は次のようなものだった。
・多様な人たちの中に身を置く力がない。校長室や保健室で2、3人と過ごすのは平気でも、クラスの中で30人以上の子と一日過ごすことができない。
・自分の要望はすべて通ると考えているので、クラスの中でそうならないとショックを受けて学校に来なくなる。
・仲直りの仕方がわからないため、一度でも誰かと衝突すると「絶対にもうダメ」となって即座に関係性を断ち切ってしまう。
昔からこうした子供は一定数いたはずだが、今になって教師たちが、この傾向が強まっていると感じる要因は何だろう。都内の小学校で35年ほど働いてきた女性教師は言う。
「20年くらい前から、人と接するのが苦手な子が徐々に増えてきた印象があります。いろんな人と自由に接して遊ぶ機会が減っている上に、親の過干渉によって子供の自己決定力が奪われているのが原因だろうといわれていました。ただ、ここにきて対人関係の苦手な子がさらに増えた原因は、学校がその穴を埋めるのではなく、それらに加担するようになったためだと感じています」
子供を管理下に置こうとする学校
以前の学校には、子供たちを雑多な人間関係の中に放り込み、そこで付き合い方やコミュニケーションを学ばせる機能があった。クラス替えや席替えの度に仲のいい友達と引き離され、昼休みはクラスや学年の違う子供たちと遊び場を取り合い、部活動では後輩の指導をしたりした。そこで自分とは異なる人間とどう共に生きていくべきかを学んでいった。
ところが、最近はこれと真逆の指導が主流になっているそうだ。席替えはトラブル予防のために仲の良い友達同士で班を組ませて席を決め、休み時間は学年やクラスごとに遊ぶ場所を学校が指定する。万が一トラブルが生じれば、教師が即座に介入して解決する。つまり、不要な衝突を避けるために、学校側が子供たちを管理下に置き、人間関係を狭めているのである。
こうした指導は子供を不測の事態から守る面があるが、不特定多数の人間との付き合い方を学ぶ機会を奪う。もともと対人能力が高い子はいいが、そうでない子は人付き合いが苦手なままになる。
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