甲子園さえ私物化? 号泣TBS井上アナに見る自己陶酔と、多様性時代に逆行する「慶應イズム」

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自己陶酔グセは育ちの良さゆえか、エリート意識ゆえか……井上アナ以外もよく泣くのは慶應卒の男性アナばかり?

 甲子園を私物化したと批判されてしまった応援席。連日にわたりテレビ・ラジオで母校愛を訴え、感情的になってしまった井上アナもまた、公共の電波の私物化と言われれば否定しにくいだろう。

 自分のコミュニティー外の人間が多くいる場で、感情をあらわにする大人。一般的には幼いと言われる行動だろう。井上アナは「仙台育英なめんなよ」とも言っていたが、勝手に球児たちの思いを代弁し、「僕を責めて」と悲劇のヒーローぶって泣く姿は、文字面だけ見れば10代前半の少年のようである。けれども自分に酔える幼さこそ、慶應卒業生たちに通底する、育ちの良さゆえの純粋さでもあり、エリート意識の産物なのだろう。

 涙は女の武器という古い言葉もあるが、ここ数年、テレビで涙を見せるのは男性アナばかり、しかも慶應卒ばかりである。例えばフジテレビの榎並大二郎アナ。一昨年、新型コロナウイルスに感染した妊婦が入院できず赤ちゃんが死亡したニュースを受け、生放送中におえつを漏らした。また日本テレビの安村直樹アナも、2019年のラグビー日本代表のアイルランド戦勝利で大号泣。同局の藤井貴彦アナも、東日本大震災の被災者への取材で涙をこぼしていた。

 AIの登場もあり、アナウンサー不要論もささやかれる中、こうした人間味溢れる姿にこそアナウンサーの意義を見いだす視聴者も多い。プロとしてどうなのか、と厳しい言葉も必ず出るが、素直な感情表現に心揺さぶられたとSNSでも好意的な反応がほとんどだ。他人のために涙をこぼす姿は、恵まれて育った人ならではの人の良さを感じたのは確かである。

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