甲子園さえ私物化? 号泣TBS井上アナに見る自己陶酔と、多様性時代に逆行する「慶應イズム」

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 慶應幼稚舎からの生粋の慶應ボーイである、TBSの井上貴博アナウンサー。爽やかなルックスだけでなく、「Nスタ」でのホラン千秋さんとの軽妙なやり取りは人気を集めていた。同局の男性アナといえば安住紳一郎アナの独壇場だったが、昨年の「好きな男性アナウンサーランキング」では8位にランクインしている。

 しかし、先日の高校野球をめぐる一連の言動には、がっかりしたという声も相次いだ。母校・慶應義塾高校が、昨年大会の覇者・仙台育英高校を下して107年ぶりに優勝。当日はうれしさのあまり「アナウンサー失格です。公私混同で、公平性を欠いています」とコメントしたのも話題になった。しかし決勝戦における慶應サイドの、地鳴りのような“大応援”には批判が続出。井上アナが世間の反応に同意は示しつつ、「選手を批判する権利はないと思うんだよね。そこだけは許せない」「外部のバカなOBの僕を責めてよ......!」とラジオ番組で号泣してしまったことはさまざまな議論を呼んでいる。

 甲子園での大声援が悪いわけではない。慶應以外でもそういう試合は数多くある。でも今回、これだけ反感を招いたのは、メディアの人間や応援席からダダ漏れする、「俺たち慶應で良かった~!」という大人たちの自己陶酔ぶりであり、それが公共の電波に乗ったという点ではなかったか。選手を批判するな、自分を責めろとラジオで泣く井上アナの姿は、さらにその「自分に酔っている」印象を強めてしまった感が否めない。

 すでに準決勝あたりから、メディアが慶應一色の報道をし始めたことへの反発は表面化していた。井上アナのみならず、各局のアナウンサーや識者たちが「僕も私も慶應」とうれしげに口にするのは、単なる愛校心を超える異様な雰囲気があった。そこへ来て、決勝戦での応援である。アルプススタンドまで埋め尽くすOB・OGが、電車が通過中の高架下レベルの音量で、肩を組んで大合唱。相手校のエラーや三振時にも大歓声を上げる人々に、高校野球の観戦という意識はあっただろうか。選手たちの健闘を祈るより、「甲子園で行われる特別な三田会に来てまーす! 全国の皆さん見てるー?」という、OB・OGの場違いな高揚感と優越感に満ちていたように見えてしまった。

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