大谷翔平・右ひじ靭帯損傷で問われる「エンゼルス医療チーム」の責任 GMの会見にも違和感
故障者の多いチーム
話は2020年8月2日に遡る。アストロズ戦に先発した大谷は明らかにおかしかった。球速は140キロ台、初回こそ150キロ台後半が出たが、2イニング目のマウンドでいきなり球速が落ち、大谷も「こんなはずじゃない!」と言わんばかりに、ムキになっていた。1回3分の2で交代となったが、のちのMRI検査で「右屈曲回内筋群」の損傷が判明した。登板できる状況ではなかったのだ。
「1回目の右肘靱帯損傷が発覚したのは18年シーズンでした。トミー・ジョン手術を受け、19年の『投手・大谷』は全休、20年7月に復帰マウンドとなりましたが、1イニングを投げきることができなかったんです。球速がいきなり落ちたアストロズ戦は2度目の登板でした。7月の復帰マウンド後、エンゼルスの医療チームは詳細なメディカル・チェックをやっていたはず。右屈曲回内筋群の違和感を発見できなかったのはおかしい」(米国人ライター)
日本では整体師、栄養士などが選手の健康管理や練習メニューの作成を手伝っているが、MLBは違う。理学療法士の資格などを持った者がトレーナーを務め、メディカルスタッフは選手の健康面に関して絶大な権限を与えられている。体に異常を見つけたら、たとえ選手本人が「出場できる」と訴えても、試合には出られない。監督もそれに従わなければならないという暗黙のルールも出来上がっているそうだ。
「エンゼルスは故障者の多いチームです。8月31日に公式発表されましたが、ガーディアンズへの移籍が決まった投手のマット・ムーア(34)は、5月27日に右脇腹痛でIL(故障者リスト)入りし、復帰まで1ヶ月以上掛かりました。ショートのレギュラーを掴みかけたザック・ネト(22)も故障と復帰を繰り返しました。主砲のマイク・トラウト(32)も7月3日に左手有鉤骨を骨折し、復帰したと思ったら、僅か1試合でILに逆戻りしています。故障した選手を急いで戻さなければならない理由があるとしたら、選手編成を任されているミナシアンGMにも責任があります」(前出・現地メディア関係者)
また、20年の投手・大谷だが、2試合のみの出場に終わっている。こんな証言も聞かれた。
「18年シーズン、エンゼルスは6人の投手がトミー・ジョン手術を受けました。その一人が大谷でした。6人もの投手が同時期にヒジを痛めるのも大問題ですが、同手術を受けたら、『翌年は全休、術後2年目に復帰』となるのが一般的です。なのに、他の18年手術組は一人も20年にカムバックできませんでした」(前出・米国人ライター)
この「20年の経緯」を米国の野球ファンは知っているから、今回の大谷の右肘靱帯損傷に「エンゼルスの医療チームは何をやっているんだ?」と怒っているのだという。
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