「佐々木朗希世代」の大学生投手に“とんでもない逸材”が…今年のドラフトは大豊作!? 最速158キロ右腕も登場

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過去最高レベルの“大豊作”

 慶応の107年ぶりの優勝に沸いた今年の夏の甲子園だが、決勝に進出した慶応の選手は慶応大への進学が規定路線であり、準優勝の仙台育英も主力の大半は大学進学するとみられ、“プロ入りするスター”を探すという意味では、やや寂しい印象が残った大会だった。特に、スカウト陣から聞かれたのは「(プロ志望の有力)投手がいない」という言葉だった。【西尾典文/野球ライター】

 今大会に出場した投手で、今年のドラフト会議で上位指名を受ける選手は不在となる可能性は高い。しかしその一方で、大学球界を見てみると、過去最高レベルの“大豊作”と言われるほど、有力な投手が揃っている。彼らの実力を満天下に知らしめたのが、8月28日に東京ドームで行われたU18侍ジャパンと大学日本代表の壮行試合だ。

 結果は、大学日本代表が8対0でU18侍ジャパンを圧倒した。登板した大学日本代表の10人の投手のうち、7人が最速150キロ以上をマーク。筆者が現地で確認した最速を順に並べると、以下のようになる。

細野晴希(東洋大):158キロ
常広羽也斗(青山学院大):155キロ
下村海翔(青山学院大):153キロ
武内夏暉(国学院大):153キロ
岩井俊介(名城大):152キロ
古謝樹(桐蔭横浜大):152キロ
草加勝(亜細亜大):151キロ
木村仁(九州共立大):148キロ
上田大河(大阪商業大):147キロ
蒔田稔(明治大):143キロ

※全員4年生

プロを相手に好投

 一般的に、最速よりアベレージの球速が最も重要と言われるが、最速が150キロを超えた7人は、ストレートの平均球速も全員が150キロを超えている。相手が高校生で、金属バットではなく、慣れない木製バット(※U18W杯は木製バットを使用)を使っていたことを割り引く必要はもちろんあるものの、ここまでU18侍ジャパンを大学日本代表が圧倒する試合はなかなか見ない。過去の壮行試合では、大学日本代表が苦戦を強いられることもあったからだ。

 彼らが、強烈にアピールしたのは、この日だけではない。夏の甲子園の“裏”で、プロの選手をねじ伏せていたのだ。

 8月21日に「デイリー新潮」で公開した「どうして?『夏の甲子園』を視察するスカウトが減っている理由 『一日、誰も来ていない球団があった』」という記事のなかで、今夏、プロの二軍や三軍が大学と積極的に交流戦を行っていることを紹介したが、大学日本代表に選ばれた多くの投手が、プロを相手に好投しているのだ。

 8月10日に行われた東洋大対巨人三軍戦。細野は、2回、無失点、3奪三振で巨人打線を抑え込んだ。この試合で、ストレートは最速155キロをマークして、スカウト陣を唸らせた。

 続く、同15日の青山学院大対巨人三軍戦では、常広と下村が5回(常広が3回、下村が2回)を零封したほか、同25日の国学院大対ソフトバンク三軍戦は、武内が3回を被安打1、無失点、7奪三振と、“圧巻の投球”を見せている。プロの三軍は、高校を卒業して間もない若手が多いとはいえ、プロを相手にこれだけの投球を見せたことで、さらにスカウト陣の評価は上がっている可能性は高い。

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