学歴マウント、遺族を誹謗中傷、Xで暴言……議員としての適性を欠く人物が当選してしまう「地方議会」の実態

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地方議会をしっかり監視すべきだ

 2014年にあった兵庫県議会議員の野々村竜太郎氏の号泣会見はもはや伝説となっているが、今年になっても地方議員の不祥事が後を絶たない。2月には静岡県の浜松市議会で、自民党浜松に所属する柳川樹一郎氏が性的マイノリティーに対し、差別的ととれる発言を行って謝罪した。4月に国民民主党の応援を受けて当選した静岡県議会議員の中山真珠氏は、無免許運転が発覚して謝罪した。こうした失言、暴言は枚挙に暇が無く、いちいちニュースにしていてはキリがないほどである。

 国会は注目度が高いため、議員の一挙手一投足が問題にされることが多い。しかし、実はスポットライトが当たりにくい地方議会のほうがなんとかしなければいけない議員が多いし、課題が山積しているのである。地元の名士一族の世襲、無駄に多い定員、延々と居座る議員、暴言、セクハラ……国会で問題になっていることが、地方議会には凝縮されているのだ。

 議員1人の給料だって決して安くはないのである。仮に年間300万円だと仮定すれば、15人いたら4500万円かかる。さらに議員の研修旅行と称した温泉旅行などが、目が届きにくいためやりたい放題行われている例もある。こうした数千万円の支出は、地方では決して小さな金額ではなく、無駄を省けば子育て政策や高齢者福祉に使える予算が増えるはずだ。

 最大の問題は、地方議員の発言は地域のイメージに直結する事例が多いことである。果たして、先の小川氏は鶴ヶ島市にプラスになる仕事をしたと言えるだろうか。地方議員は自分が地域の代表であると覚悟して職務に臨むべきだし、住民もその仕事ぶりを厳しく監視するようにしたいものである。

山内貴範(やまうち・たかのり)
1985年、秋田県出身。「サライ」「ムー」など幅広い媒体で、建築、歴史、地方創生、科学技術などの取材・編集を行う。大学在学中に手掛けた秋田県羽後町のJAうご「美少女イラストあきたこまち」などの町おこし企画が大ヒットし、NHK「クローズアップ現代」ほか様々な番組で紹介された。商品開発やイベントの企画も多数手がけている。

デイリー新潮編集部

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