学歴マウント、遺族を誹謗中傷、Xで暴言……議員としての適性を欠く人物が当選してしまう「地方議会」の実態

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議員の定数が多すぎる

 なぜ、地方議会ではこうした議員が当選してしまうのだろうか。結論を先に言えば、「当選しやすいから」である。住民の声をきめ細やかに議会に届けるためだと言えば聞こえがいいが、地方議会の場合は人口に対して議員定数が多いことが珍しくないうえ、地元の名士や企業経営者、さらにイベントの主催者など、比較的知名度のある人物であれば当選圏内に入りやすい。

 地方選挙は票が分散する傾向が大きい。例えば、定数15人の選挙に16人が立候補したとして、1位1,200票、2位1,150票、3位1,143票……15位870票、16位868票といった塩梅に、数票差で当落が決まるパターンも珍しくない。しかも落選者がいても数人、場合によっては立候補者がゼロで無投票当選というケースもある。

 こうした特性があるため、国政選挙では泡沫候補と言われた人が、地方選挙で当選した例はいくつもある。国政選挙ではほぼ当選者を出せない政党でも、地方選挙では当選者を出している例も多いので、興味のある人はぜひ調べていただきたい。

 問題なのは、地方議員の仕事が、あろうことか無職のオッサンや地元名士の副業の場になっているケースだ。マニフェストも自分で作成せず、選挙コンサル会社に丸投げしている例もある。なかには、議会で年に一度も質問をしないグータラ議員までいるほどだ。こうした議員を肥やすため、税金が投入されているのは問題ではないだろうか。

議員のなり手が不足している

 近年、地方議員のなり手不足が問題になっている。筆者の故郷の秋田県の市町村の議会でも同様で、なり手不足ゆえに、ほとんど何もしない議員がずるずると続けている例が少なくない。

 筆者は帰省するたび、「山内さんは当選するから絶対に町議会議員選挙に出た方が良い」などと複数の町民から勧誘されている。現に、私は町おこし活動などで多少の知名度があるため、選挙活動をほとんどしなくても当選できてしまうだろう。ある程度、地元で名が知られていれば、特に過疎地帯であれば当選は容易いとされる。

 過疎地になればなるほど、地方選挙はマニフェストよりも縁故と知名度がモノを言う。政策を訴えるよりも友人に声をかけたり、町民の飲み会に出たり、選挙カーで町内をぐるぐる回ることの方が大事だったりする。驚く人もいるかもしれないが、選挙カーが回ってきた回数をこまめに数え、それを投票の理由にする住民までいたりするのだ。

 地方議員は住民のためにきめ細やかな活動をするのが本来の姿である。国会議員同様、自らを律することが重要であるのは言うまでもない。地方議会が、地元の人気者ランキングになってはならないのだ。

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