「強烈な排他性がある」「“内輪ノリ”と“群れる習性”が」 慶應OBらがひもとく、「慶應騒動」が巻き起こった本当の理由
内輪で盛り上がる様子にうんざりした人も
チームを率いる森林監督も異色の経歴の持ち主で、
「現在も幼稚舎の教諭を務めており、大学時代は野球部に所属せず慶應高校で学生コーチをしていました。選手で言えば、例えば丸田選手の自由な髪形や日焼け止めの使用などが、“格好つけてる”と感じられ、昭和の高校野球ファンの反感を買ったのかもしれません」
幼稚舎から大学まで慶應で、高校時代には野球部に所属していたTBSの井上貴博アナも8月26日、TBSラジオ「井上貴博 土曜日の『あ』」に出演した際、批判の声について涙ながらにこう語っていた。
「選手にその矛先を向けるのは違うと思うんだよね。やっぱりその……これは辛かったですね」
その一方、
「大事な大会で声が聞こえないなんて、当たり前なんですよね。でもそれを超えて彼らは練習してきている。仙台育英なめんなよ」
と、問題の落球の場面について“意味不明”なことも口走り、ネットで物議を醸したのだった。
「井上アナに関しては、TBSの『ひるおび』に慶應出身の赤荻歩アナらと共に出演した際も、内輪でキャッキャと盛り上がる様子にうんざりした人は多かったはずです」(前出・テレビ局関係者)
「東大や早稲田は同窓会に関心がない」
“内輪ノリ”――それこそが「違和感」の正体を解明する上での重要なキーワードとなるかもしれない。
慶應の卒業生(塾員)によって構成される同窓会組織「三田会」の結束力の強さはよく知られているが、
「慶應の人は三田会や慶應閥として、単なる同学というつながりだけで群れようとするのが気持ち悪い」
本誌(「週刊新潮」)連載陣の一人、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏はそう話す。
「今回、この群れる習性が決勝でのああした応援につながり、非難の的となってしまったのではないでしょうか。慶應の応援団は群れの性質で外部を入り込ませない“内輪ノリ”の応援をしてしまった。それで慶應“外”からのバッシングを受けているわけです」
大学ジャーナリストの石渡嶺司氏も、
「慶應の三田会は日本最大の卒業生組織です。だからこそ応援に熱が入ったという部分はあるのでしょうが、そこが鼻につくという人も当然出てくるでしょう」
と、こう語る。
「三田会の結束力はビジネスの場でも生かされることがあります。慶應同士であれば、良かったねという話になるのですが、別の大学の出身者、特にビジネスがうまくいかなかった側からすれば面白くない。例えば会社の同期や後輩に慶應の人がいて、三田会人脈で契約が取れたなどという話を耳にすると、やっかみを含めて反感を覚えるのが普通です」
慶應の卒業生約40万人で構成される三田会。
「卒業年度別、学部別、職種別、会社別など、三田会は網の目状に組織されています。また、中央集権的ではなく、それぞれの人が自発的に動いてできていることも、結束力が強い要因だと思います」
『慶應三田会 組織とその全貌』の著者で宗教学者の島田裕巳氏はそう話す。
「卒業生が社会に出る度に組織としてどんどん大きく、強くなっています。卒業生が毎年生まれるのはどこの大学でも同じですが、それを取り込み再生産できるのが三田会の強さ。東大や早稲田の人は同窓会に関心がない人が多いですから」
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