「盗んだってこと?」とゴルフ界は騒然…ギャンブル癖を暴露されたミケルソンが今度は“仰天告白”の狙い

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実際の看板を披露

「こんな話、ウソだと思うよね? でも本当なんだ」

 動画の中のミケルソンは、そう言いながら、背中側に隠し持っていた看板を「ほらね」と言いたげに示して見せた。

 その看板には、白地に緑の文字で「EAST PRACTICE TEE FOR SHORT GAME PRACTICE ONLY(イースト練習場は小技の練習オンリー)」と記されており、その独特のデザインの看板は、まさしくオーガスタ・ナショナルのものだった。

 ミケルソンが厳粛なオーガスタ・ナショナルから看板を盗んで隠し持っていたというのは事実のようである。しかし、ともすれば「犯罪だ」と言われてもおかしくはないそんな話を、なぜ今ごろになってわざわざ告白したのかが米ゴルフ界で取り沙汰されている。

告白の理由

 米ゴルフウィーク誌は「突飛で極端で信じがたい話だが、ちゃんと証拠があるからリアル・ストーリーだ」と記している。

 フロリダ州の地元紙パームビーチ・ポストは「ギャンブル関連で暴露されたダークなイメージを軽減する目的で、人々の視線をギャンブル問題以外に向けるために、あえてこの告白に踏み切ったのではないか」と書いている。

 そうした分析的な見方で「なぜ告白した?」「どうして今なのか?」「何が目的か?」などと論じるメディアがいくつか見られる一方で、「面白い話」「笑える話」と銘打った上でミケルソンの告白を紹介しているウェブメディアも多々ある。

「ミケルソンがまたお騒がせ発言」という見出しもあれば、「やっぱりミケルソンはエンタテイナーだ」「ミケルソンはいつの時代もベスト・ストーリー・テラーだ」といった表現も見受けられる。どちらかと言えば、この告白を好意的に受け止めているような印象さえ受ける。

 ミケルソンの告白動画をすでに見ているのかいないのかは不明だが、今のところオーガスタ・ナショナルからのコメントやリアクションは見られず、彼の行動を批判する声も聞こえてはいない。

 この告白がミケルソンのイメージアップにつながるとは、私にはどうしても思えない。ギャンブラー、エンタテイナー、ストーリー・テラー等々、さまざまな呼称で呼ばれるミケルソンの言動は、年々謎めきの度合いが深まっている。名選手が「ミステリアスなゴルファー」となりつつあることだけは確かだ。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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