日曜になると湧き上がる「張本勲ロス」…アンチもネット世論も巻き込んだ「喝!」と「あっぱれ!」の稀有な魅力とは
カズもハリーも「あっぱれ!」
現在56歳で現役を続ける“カズ”こと三浦知良選手が、48歳の時にゴールを決めた際、「おやめなさい、もっと若い人に譲ってあげないと」と言った時も炎上した。「日々の鍛錬を怠らないカズに失礼だ」「人のキャリアにいちいち口出しするな」と。その直後、カズは「もっと頑張れ、と言われたのだと思っています。激励だと思います」といった趣旨の「大人の対応」をし、ハリーが翌週番組で「あっぱれ!」を入れる場面もあった。これもハリーにとっては「喝」を出す頻度が低くなる契機となったのでは。
そしてハリー登場の最終回、因縁のカズからは「その節は、叱咤激励ありがとうございました。これから張本さんの叱咤激励が聞けなくなると思うとちょっと寂しいですけど、張本さんに早くお辞めなさいと言われないようにこれからも頑張りたいと思います。ありがとうございました」とのVTRが出た。カズもハリーも「あっぱれ!」である。
張本氏の発言と「喝!」をめぐる騒動では2010年のジャーナリスト・江川紹子氏との一件がある。楽天の岩隈久志投手は当時エースだったが、完投せず途中降板した時のことだ。張本氏は「喝!」を入れたうえで、「最後までマウンドを守るのがエース」と発言したところ、その日「サンデーモーニング」に出演していた江川氏が「え~?」と異議を呈し、いくらエースであろうとも途中降板をするのは近代野球ではアリでは、と述べたのだ。
残ってほしいねぇ~
その後、張本氏サイドが江川氏へのクレームを番組側に入れ、江川氏は以来同番組に出ていない。番組としてはハリーの方が大事だったわけだ。ちなみに江川氏は、先に触れたハリーによる入江選手への謝罪について「軽いな~。番組としては、あの張本氏になんとか『反省』という言葉を言ってもらいましたー、だからもう忘れてちょ、ということでしょう」とツイートした。
このように、張本氏は常に自身の奔放な発言が波紋を呼ぶわけだが、私はハリーがすべてのテレビ出演者の中で一番好きである。偉大な野球選手であるのに加え、過去の発言については批判もあるだろうが、とにかく日本の古き野球が大好きな姿に感銘を受けるのだ。MLBの審判の誤審が話題になると、「日本の審判は優秀だから」と褒める。
また、MLBに行くと表明する選手が出ると「残ってほしいねぇ~」と言い、アメリカで立派な成績を残せないと「もう帰って来なさい」と言う。これに対しては「本人の挑戦を尊重しろ」という声がネットでは出るが、ハリー的には「あなたは日本でプレーした方が輝ける」と感じているのだろう。
[3/4ページ]