日曜になると湧き上がる「張本勲ロス」…アンチもネット世論も巻き込んだ「喝!」と「あっぱれ!」の稀有な魅力とは

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張本氏をタイトルに入れておけば

 ヘタすりゃ日曜朝9時~11時台のYahoo!ニュースのスポーツ部門のアクセスランキングトップ5のうち、4つが張本氏絡みだったことさえある。2019年オフ、埼玉西武ライオンズ(当時)の秋山翔吾がシンシナティ・レッズへの移籍が決まった時、当然同番組はこのことを取り上げた。この時の各スポーツ紙電子版コタツ記事のタイトルはコレだ。

「張本氏、秋山移籍レッズと過去に対戦『ワンちゃんとこれはかなわんぞと…』」(サンケイスポーツ)
「張本勲氏、秋山加入のレッズと現役時代に対戦の過去 王さんと語った『“これは敵わんぞ”と』」(スポニチアネックス)
「張本勲氏『ワンちゃんとこれはかなわんぞ…と』大リーガーとの思い出語る」(デイリースポーツ)
「張本氏 秋山移籍レッズ『過去は強いチームだった』」(日刊スポーツ)

 すべてタイトルの書き出しは張本氏になっており、次いで「秋山が移籍したレッズ」が登場して「王貞治氏と話し合ったエピソード」が続く。内容はどの記事も同じようなものだが、「張本氏をタイトルに入れておけば何でも読まれる」という風潮は、一時期のウェブメディア界に間違いなく存在していたのだ。

低くなっていく「喝!」の頻度

 しかし、張本氏が「サンデーモーニング」を降板してからはこうした記事は減った。私自身、それまでテレビは朝7時のNHKニュース、「朝だ!生です旅サラダ」(テレビ朝日系)、そして「サンデーモーニング」だけ見ていた。しかし、コロナ騒動が始まって以来、テレビによる恐怖煽りが鬱陶しくなった。「旅サラダ」は旅に行けないものだから過去映像を流したり、多少ロケがあってもリポーターはマウスガードをし、その後、不織布マスクを着用。食べる時だけマスクを片耳に着ける「尾身食い」でレポートをする様が不気味過ぎて見なくなった。そしてハリーの降板である。

 NHKのニュースはラジオのポッドキャストで聴けばいいし、ハリーのいない「サンデーモーニング」は見る価値もない。というわけでテレビは捨て、解約 。思えば張本氏が毎週語っていた「昭和根性野球論」「昭和頑固オヤジ的価値観ではあるが、基本的に子供・高齢者・女性には優しく、『あっぱれ!』を入れる」「野球がどんなスポーツよりも面白い」「レッドブルが主催するような危険なスポーツは『何が楽しいのかねぇ?』と首をひねる」「野球は『走り込み』が大事。新しいトレーニング方法は無駄」という同氏の芸風が私は好きだったのだ。

 これは“古臭い”とされていたが、同番組のメイン視聴者層であろう男性高齢者からは共感されただろうし、同氏の発言を快く思わないネットユーザーはその怒りをぶつけられる存在として発言に注目していた。おそらくネットでの押し寄せる批判に張本氏は心苦しくなったのだろう、2010年代後半、次第に「喝!」の頻度が低くなった。

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