ビッグモーター「不当解雇」訴訟で大ピンチ 原告男性が語る「いきなりクビ宣告」の歪な企業風土

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犠牲者は他にもいる

 控訴審の舞台は東京高裁へと移ったが、8月23日に即日結審。裁判長は一審判決に沿う形で、ビッグモーターが男性側に一定金額を支払う内容の和解案を勧告した。両当事者は現在、対応を検討中だが、タイムリミットとなる次回期日は9月15日に迫っている。

 そんななか原告男性が取材に応じ、こう想いを口にした。

「突然“クビ”の宣告を受けて、経済面や精神面でも地獄でしたが、家族の支えなどもあって何とか乗り切ることができました。他の店舗や工場では、インセンティブなどの存在から、現場の社員同士で仕事の奪い合いや足の引っ張り合いが起きることも珍しくありませんでしたが、自分の働く工場ではそういうことはなくそうと努めていた。でも今回の解雇に至る過程でも痛感しましたが、現場の声が反映されることは決してない会社だった。上司だった工場長らも私たちの話に耳を傾けることなく、現場とは距離を置き、仕事は丸投げだったのが実態です。もともと“黒を白”と言えるような人間が出世していく企業風土がありましたが、そこに隠蔽体質や兼重社長らへの盲従が加わることで、歪な構造の会社へと変質していたように思います。私は闘う機会を得ましたが、不当解雇されながら声も上げられない元社員は他にも多くいて、私の裁判が彼らの希望になれば……という思いでやっています」

 ビッグモーターや兼重親子らに“いま言いたいことは?”と訊ねると、「もう関わりたくはない、の一言です」と答えるのみだった。

 ビッグモーター側の代理人弁護士にも取材を申し込んだが、

「(控)訴状に記載されている通りです」

 との回答だった。

 対話や歩み寄りの姿勢も見せず、自省なき企業に再生の道などあるのか。

デイリー新潮編集部

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