閉所恐怖症の私が窓のない部屋で連日、取り調べられて…大川原加工機「女性社員」が証言する“警察庁公安部の恐ろしい手口”
表参道駅がトラウマ
その後も聴取は続く。
Aさんは早く家に帰るため、昼飯休憩ははいらないとして午前11時頃から聴取を始めてもらったりしたが、帰る頃には真っ暗になることもよくあった。
田村警部補は「上司に『お前が優しいからAは何も話さないんだ』と言われちゃったよ」などと調子良く言ったかと思うと、苛立って声を荒げることもあった。
「私は少し閉所恐怖症なんです。窓のない部屋で連日、数時間、時には8時間も閉じ込められ、早く帰りたいと言っても聞き入れてもらえず、頭が変になりそうでした。その場から一刻も早く逃げ出したいとしか思えなくなる。冤罪ってこんな感じでできるんだと痛感しましたね」
疲労困憊したAさんは、次第に追い詰められていく。
「自殺未遂までしたわけではないですけど、駅のホームでふと、毎日こんなんなら死んでしまったら楽なのにと思ったこともありますね。原宿署に行くのに(東京メトロ)千代田線に乗り換えていた表参道駅にはトラウマがあり、今も1人では行けません。気分が悪くなります」
遂にはうつ病を発症した。
「取り調べが数十回続いたある日、声を荒げた田村警部補に対して心の限界が来てしまいました。体調も悪くどうにもならず、帰らせてくれと言ったと思います。その時の事は自分でもよく覚えていません。とにかく頭の中で何かが壊れるような大きな音がして、倒れてしまったと思います。1人で帰らせて途中で何かあれば警察の責任にされると判断したのか、家族または会社の人間に迎えを頼めないかと聞かれました」
夫に連絡し、迎えに来てもらった。
「夫から聞いたのですが、その際に間違いなく引き渡しをしたことに署名しろと要求されたらしいです。要は、この後、何かあっても、警察の責任ではないと言いたかったのでしょう」
また、夫は今までの数十回にわたる取り調べに関して、「企業に対する捜査なのに個人をここまで追い込むのはおかしい。追い込まれているのがわからないのか? 普通の精神状態ではないことが顔を見ればわかるだろ」と強い口調で言ったという。しかし、「捜査員は事務的で無表情だった。人間ではないと思った」という。
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