【大谷翔平】右肘のケガをトミー・ジョン手術の名医はどう見ているか 「これはマズいと思った瞬間があった」

スポーツ 野球

  • ブックマーク

再手術は復帰に時間がかかる

古島:それほど多くはありませんが、野手でもトミー・ジョン手術を受ける例はあります。もっとも、大谷の場合、肘の損傷が見つかった後も思い切りバットを振り切っているようですから、問題はないのでしょう。

――再手術ということになるのだろうか。

古島:どこまで痛めているかによるでしょう。万が一、再建した靱帯が切れていた場合、それを修復することはできないので、再手術ということになります。

――トミー・ジョン手術は、前腕から採取した健常な腱を肘の骨に開けた細い孔から通して、損傷した靱帯を補強するためにつなぎ止める手術だ。

古島:再手術となると、前回再建した靱帯を取り除き、新たな腱を採取して使わなければなりません。前回、右の上腕から採取したのであれば、今回は左からということになるでしょう。手術が複雑になることに加え、術後は本人がより慎重になるため、復帰までの期間が前回よりも早くなることはありません。

――また2年以上、活躍が見られないということか。

古島:保存治療でいける程度であれば、そのほうがいいと思います。もっとも、今後も二刀流をやり続けたいかどうかは、大谷の意向次第でしょうが。

――エンゼルスも本人の意思に任せているようだが、それだけに今回はチームの管理責任を問う声も出ている。

予測できた

古島:大谷を本当に信用しきっていたと思います。もっとも、8月4日(日本時間)のマリナーズ戦で、4回を投げ終えたところで右手中指に痙攣(けいれん)を起こして降板しましたが、その後は無理にでも休ませるべきだったかもしれません。あの降板を見た時、この後に休まなければ、また肘を痛めることになると予測できましたから。

――予測できた?

古島:そうです。あの時、休まなかったら、きっと後悔することになるだろうと思っていました。おそらくチームのドクターにも、そう考えていた方がいると思います。ただ、命に別状があるのならともかく、ドクターストップを掛けるかどうかまで医師に相談があることはないでしょうからね。それにアメリカの医師には、すぐに手術しようとする人も少なくありません。

――今後、どう対処するのが理想だろうか。

古島:もし手術しなくてもいい状態で復帰が見込めるなら、無理をしてほしくはありません。ただ、本人がどう考えているのか……。再手術をすると決めているから、今は全力で頑張っているのかもしれません。大谷は今、FAをどうするのかという問題もありますが、お金に振り回されることなく二刀流で戻ってきてほしいと思っています。そして、その時には、積極的に休みを取ることも忘れないでほしいです。

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。