【大谷翔平】右肘のケガをトミー・ジョン手術の名医はどう見ているか 「これはマズいと思った瞬間があった」
エンゼルスの大谷翔平(29)が再び右肘の靱帯を痛めた。球団は今季の残り試合、投手での登板はないと発表したが、打者としては出場を続けている。大谷は今後どうなるのか、どうすべきなのか。800件以上のトミー・ジョン手術(側副靱帯再建術)を執刀した医師で慶友整形外科病院(群馬県館林市)スポーツ医学センター長の古島弘三氏に聞いた。
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【写真8枚】ケガの影響を感じさせない、大谷の「鋭すぎるバッティング」 画像を見る限り、打者の仕事には影響が無さそうにも見えるが
大谷は2018年6月にも右肘を痛め、自身初となる故障者リスト入りした。当初はPRP(多血小板血漿)注射による保存治療を受け、ひと月後に打者として復帰。9月に投手としても復帰したものの、右肘靱帯に新たな損傷が見つかり、シーズン終了後の10月1日にトミー・ジョン手術を受けた。術後、投手として復帰したのは20年7月のアスレチックス戦で、1年10カ月ぶりの登板だった。しかし、1回途中、一死も取れないまま5失点で降板。8月には右肘付近の屈曲回内筋の損傷と診断され、この年のシーズンは終了した。彼が勝利投手となったのは、翌21年4月のレンジャース戦。実に2年半ぶりのことだった。あれから2年半を経て、再び右肘の故障である。早くはないだろうか。
古島:早いと思います。大谷本人のコメントや情報が少ないため、現在のどのような状態なのかわかりませんが、やはり疲労が溜まっているのだと思います。
――今季の大谷はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)での大活躍など、シーズン前から全力でプレーしてきた。シーズンが始まっても、史上初となる2年連続の二桁勝利&本塁打と大投打で活躍だ。やはり二刀流が疲労を蓄積させているのだろうか。
古島:二刀流よりも、投手として中5日で投げてきたことがケガの原因だと思います。メジャーは移動距離も長いので、登板間隔が中5日では、全身と腕の疲労回復が追いつきません。筋肉の疲労はパフォーマンスを落とし、それを補おうとするため肘の靱帯に負担がかかる。加えて、今シーズンの大谷は、スライダーやスイーパーなどカット系の球種を多投してきました。こうした球種は肘の内側側副靱帯に負担をかけるリスクがあります。
――バッティングへの影響はないのだろうか。
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