「バカ野郎」ヤクザの子分が親分を殴る蹴るの暴行で逮捕 ハードすぎる親子喧嘩を生んだ「令和な事情」

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若い衆は数人ほど

 中沢若頭はすでに3代目弘道会直参で、ナンバー2として常滑一家を実質的に切り盛りしてきた立場だ。

“被害者”である磯部組長は73歳。認知症に限らず、親の介護に子が四苦八苦する光景が令和の世の中には広がっているが、ヤクザの世界もそれと無縁ではなかったということになるだろうか。

「それが哀しい現実ということなのかもしれません。常滑一家の歴史を少しだけ振り返っておくと、初代は幕末から明治にかけての侠客・清水次郎長と張り合ったとの逸話があり、そこから10代続く“名門”と言えます。現在の本部は愛知県常滑市になくて知多郡にあるのですが、その初代のお墓が常滑市の総心寺にあると聞きました。

 ただ、名門ではあるのですが、現在、若い衆は数人ほどしかいないようです。それらを踏まえると、中沢若頭が磯部組長をシバいて組織を掌中に収めようとしたとか下剋上を狙ったということではなく、“オヤジ、しっかりしてくださいよ”という愛のムチ的な振る舞いだったようにも見えます」(同)

弘道会の直参レベルで

 普段ならそういった叱咤激励はひと目の付かないところで行われていたはずだが、今回はTPOをわきまえず、往来の多い駅前でやってしまったことで、事を荒立ててしまった恰好のようだ。

「今年4月、経営するラーメン店で何者かに射殺された余嶋学組長も3代目弘道会の直参でしたが、率いてきた湊興業に所属する若い衆は数人ほどでした。ヤクザの看板を掲げない方がシノギには得策だという考え方もありますが、その一方で、6代目山口組の中核組織の直参レベルで構成員が片手で数えられる程度だというのは、ヤクザの窮状を端的に表しているように感じますね」(同)

 先の記者は今後の展開について、

「殴る蹴ると言っても、激しい暴行のあとが磯部組長の身体に残るようなものではなかったようで、目撃者からしたら、年長者がいじめられているように映ったのかもしれません。磯部組長から被害届が出ておらず、中沢若頭は黙秘しており、暴行の事実を証明するものが目撃者の証言のみだとすると起訴はなさそうです」

 とシミュレートする。通常なら中沢若頭は3代目弘道会からの処分をまぬかれないはずだが、不起訴で釈放されるなら処分なしでは、との見方もある。この種の「親子喧嘩」は犬も食わないというところだろうか。

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