自分の親友と不倫する夫を妻はなぜ止めないのか 女ふたりの意地の張り合いに46歳夫は「現実から逃げたい。でも逃げられない」
音を上げたのは知之さん
そんな関係が半年ほど続き、ついに知之さんは音を上げた。自分が何をしているのかわからなくなった。妻と容子さんのふたりに、何かを吸い取られているような気がしてならなかった。妻とはレスの状態が続いていたから、そこを埋めるために妻が容子さんに「相手をしてほしい」と頼んだのではないかとも疑った。
「3人で何度も話したんです。でも離婚しない、別れないとふたりは言うだけ。仁美は、この状態でいいじゃないとまで言い出した。いや、悪いけど容子さんはもううちには来ないでほしい。僕がそう言うと、仁美が『でも娘が』と。双子のうちのひとりが、コロナ禍以降、不登校気味になっていたんです。彼女が心を開くのは容子さんだけ。だったら僕がいないときに来てほしいと言うしかなかった。とにかく僕はもう容子さんには関わらないと決めたんです」
そう決め、家庭は平穏になったが、心の中に虚しさが募った。やはり彼は容子さんを必要としていたのだと気づいた。数ヶ月後、彼から連絡をとって再会した。そこからは激しく渦巻くような恋に落ちていく感じだった。
ついに彼が本気になったことを知った仁美さんだが、態度を変えることはなかった。妻は静観している。妻にバレているとわかっていながら恋を続けるのは苦しいと彼は小さな声で言った。
「家庭も容子さんも振り捨てて、どこかに行ってしまいたい。そう思うこともあります。出家でもしたほうがいいのかもしれない。それにしてもわかっていて何も言わない妻も妻です。いつか僕が戻ったら、それで容子さんに勝ったと思うんでしょうか」
女性ふたりの間には、彼の知らないさらなる確執があるのかもしれない。だがそれをも越える友情か愛情があるのも確かなのだろう。ただ、容子さんのおかげで娘は登校できるようになった。今は楽しそうに高校に通っている。
「現実から逃げたい。でも逃げられない。容子さんに会いたくない、でも会いたい。常に自分の心が引き裂かれている感じがします。どうしたらいいかわからない」
仕事だけが救いです。彼はそうつぶやいてとぼとぼと歩き出した。
前編【お土産を買って帰ると、第一声は「いくらしたの?」… 46歳夫が気になっていた素直にありがとうと言えない妻の“性格と情の薄さ”】からのつづき
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