お土産を買って帰ると、第一声は「いくらしたの?」… 46歳夫が気になっていた素直にありがとうと言えない妻の“性格と情の薄さ”

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双子が生まれ、忙しい日々

 ふたりとも28歳だった。仁美さんの実家の近くに家を借りた。2年後に双子の女の子が生まれると、彼女はいちど会社を辞め、娘たちが小学校に入ったころに再就職した。

「僕もそれなりの子育てをしたつもりですが、双子は本当に大変だった。いっぺんに大きくなるから楽でしょと言われたこともありますが、妻には相当な負担をかけたと思います。ひとり泣くともうひとりも必ず泣く。でも妻はそういうことでパニックになったりはしなかった。すごいなあと思ったことがあります。妻の両親は当時、仕事でふたりともフル回転していたから、緊急時以外は手伝ってもらっていないんです。おかげで、妻の実家とはほどよい距離感でつきあうことができましたね」

 妻との仲も「悪い」わけではなかったが、知之さんにとってはストレスが大きかったようだ。共働きだから、週に1度はふたりでスーパーに行き、献立を考えながら食材を購入する。その後の1週間は、買い忘れたものや足りないものを気づいたほうが手配するようにしていた。だから帰りがけに連絡は欠かせない。

「今日は僕が早く帰って食事の用意をしておくよと、朝に確認しあう。そして彼女から帰りがけに足りないものはないかと連絡がくるので、あれば頼むという感じ。もちろん逆のことも多々あります。僕は、頼まれなくても、たまたまデパ地下に寄っておいしそうなものがあれば買って帰ることもあった。そういうとき、妻は『ありがとう』とは言わないんです。『いくらしたの、それ』が第一声。いいじゃないですか、僕が小遣いの範囲で買っているんだし、子どもたちが喜べばそれでいい。でも妻はまじめなんでしょうね、決まりからはずれるのを嫌がった」

バラの花に、妻は…

 妻はサプライズを好まない。だから知之さんが妻を驚かせたくて、大きなバラを一輪買って帰ったときは「何か悪いことしたの?」と言われた。会社近くの生花店で見かけただけだと言うと、「ふうん」とだけ。

「喜び下手というんでしょうか。何かしてもらったときに、ありがとうと素直に言えない性格なんですね。わかっているから、こっちも別に傷つかないけど、素直にありがとうと言ってもいいんじゃないのと言ってみたことはあります」

 すると妻は「感謝したくなるような言動があれば言うよ」と笑っていた。こういう妻だから、さっぱりしていて根に持ったりもしないのだが、一方で情が薄いと彼は感じていた。ただ、子どもに過干渉とならないのは悪くない。バランスを考えると、「まあ、こんなものか」と納得もしていた。

 最初から大恋愛というわけじゃないしという気持ちが知之さんにはあったようだ。妻に対しては「家族」という視点しかなかった。その分、気を遣わなくてすむともいえた。

「ものごとって、なんでもいいところもあれば悪いところもあって、トータルで考えるしかないんですよね。子どもふたりがいる生活は、僕にとってやはり幸せだった」

後編【自分の親友と不倫する夫を妻はなぜ止めないのか 女ふたりの意地の張り合いに46歳夫は「現実から逃げたい。でも逃げられない」】へつづく

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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